日本は今、超高齢化社会になりつつあります。
数年前より介護保険制度もはじまりました。その介護に関してですが、介護されている高齢者が虐待を受けるケースが後を絶ちません。
その原因は、介護する家族が疲れ果てていることなど、様々な要因があります。
虐待事件は、最悪の場合「介護殺人」にもなるケースがあります。
高齢者虐待問題は今、避けては通れない問題となっています。
高齢者虐待問題
高齢者虐待問題について
高齢者虐待の実態
毎日新聞 2009/10/29
県は、08年度の家族による高齢者虐待認定数が、前年度比7件増の172件に上ると発表した。
◆日本経済新聞より 2008/11/04
厚生労働省によると、07年度に家庭で起きた高齢者の虐待の相談・通報は19,971件。
◆高齢者虐待12%増、群馬県内07年度、厚労省まとめ、家族が関与目立つ。
日本経済新聞より 2008/10/22
厚生労働省がまとめた高齢者への虐待と各自治体の対応に関する調査によると、群馬県内の07年度の虐待に関する相談・通報件数は204件で、そのうち144件で虐待の事実を確認した。
◆朝日新聞 2009年07月18日 朝刊
高齢者虐待防ぐ中心に 法施行4年/香川県
高松市内には8カ所あり、虐待が疑われた事例は08年度74人あった。
このうち29人が家族らに在宅で虐待を受けていると判断した。
●加害者6割、夫や息子
香川県長寿社会対策課によると、07年度に県内の地域包括支援センターに寄せられた在宅での高齢者虐待に関する相談や通報124件のうち、100件について虐待があったかその疑いがあると判断された。
- 【
相談・通報者】は、ケアマネジャーなど(30・6%)
▽被害者(21・8%)
▽家族や親族(18・5%)
▽民生委員(9・7%)
▽警察(6・5%)の順。
近隣住民や知人(2・4%)や虐待者自身(2・4%)もあった。 - 【虐待の加害者】は息子(42・5%)や夫(17%)など男性がほぼ6割を占めた。
このほか娘(15・1%)
息子の妻(13・2%)など。
被害者と虐待者を離す対応がとられたのは30・2%で、半数以上については双方を支援しながら自宅での生活を続けた。 - 虐待を種類別】(複数回答)に見ると、
▽身体的虐待(65%)
▽年金や財産を勝手に処分したり使ったりする経済的虐待(36%)
▽暴言や無視などの心理的虐待(30%)
▽食事を与えないなど介護や世話の放棄、放任(19%)など。
被害者本人が支援センターに相談・通報しているのはわずか20%程度。
殆ど方が虐待を我慢していることが浮き彫りになっています。
虐待されていることを言いたくても言えない理由が、個々の家庭には存在します。
息子による虐待を警察に相談したら『息子が犯罪者』になるとして、警察に訴えるのをやめる方も多数いらっしゃいます。
我が子を思うばかりに虐待がエスカレートしてく形になります。
また、虐待されていることを誰かに言うと更に虐待被害に遭う危険性もあることから、誰にも虐待を受けていることを話せないということも多いとのことです。
高齢者が餓死している事例も多数あります。
虐待のことを誰かに言うと食べ物を出してくれなく可能性もあることから少々虐待されても我慢するといった傾向にどうしても陥ります。
高齢者虐待の種類
特定非営利活動法人 日本高齢者虐待防止センター
ホームページより抜粋
- 身体的暴力による虐待 physical abuse
殴られたり・蹴られたり・つねられたり・押さえつけられたり
等の暴行を受け、身体に外傷・内出血(アザ)・うちみ・ねんざ・骨折・やけど等の傷跡が見受けられる場合。意思に反して身体を拘禁された場合。 - 性的暴カによる虐待 sexual abuse
高齢者が性的暴カまたは性的いたずらを受けたと見受けられる場合。夫婦間の強制的な行為も含まれる。 - 心理的障害を与える虐待 psychological or emotional abuse
主として介護者側等からの、言葉による暴力(侮辱・脅迫等)や、家族内での無視等によって心理的に不安定な状態、または心理的孤立に陥り、日常生活の遂行に支障をきたす程のおびえなどの精神状態が見受けられる場合。 - 経済的虐待 economic abuse
高齢者へ年金等の現金を渡されない、または取りあげて使用される、高齢者所有の不動産を無断で処分されるなど、過度の経済的不安感を与えられたと見受けられる場合。 - 介護等の日常生活上の世話の放棄、拒否、怠慢による虐待 neglect
日常の介護拒否・健康状態を損なうような放置(治療を受診させない、適切な食事が準備されていない等)・日常生活上の制限(火気器具等の使用制限)や戸外に閉め出すなどによって、高齢者の健康維持、日常生活への援助がなされていないと見受けられる場合。
※高齢者処遇研究会編『高齢者虐待防止マニュアル』長寿社会開発センター,1997,p7より引用
高齢者虐待問題の解決の第一歩
多発する高齢者に対する虐待。
当事者以外の方の関与がとても重要となります。
もし、家族の方が複数人いらっしゃるのであれば、協力し合うことが大切です。
外出していることが多い場合は、自宅の様子をカメラで確認することも重要です。
虐待は、人の目がないときに発生します。
誰もいない部屋で高齢者の方が被害に遭っているのが殆ど。
だから、外出先から自宅を確認することで虐待を防止することも可能になります。
しかし、この対策は毎日継続しなければ効果は発揮しません。毎日定期的に確認することが重要です。
さらに重要なことは、「毎日確認すれば良い」とことを考えていては虐待被害はなくなりません。
「見られているから虐待をやめておこう」と思うのは一時的なものです。
根本的な問題を解決しない限り、虐待を止めることはできません。
まず、現況の把握から
そのためには、まず現状を正確に把握するこが重要です。
加害者も被害者も本当のことを語りません。
特に被害者は、「本当のことを話すと殺されるかも知れない」という恐怖感があります。
そのため、正確にお互いの言い分を聞くことは困難であることは間違いありません。
そのような場合、防犯カメラで部屋の様子を録画することが効果的です。
録画映像は嘘をつきません。事実だけを映し出します。
被害者の様子や加害者の様子がはっきりと見て取れます。
その様子を確認したうえで問題が浮き彫りになります。
虐待の可能性がある高齢者のサイン
特定非営利活動法人 日本高齢者虐待防止センター
ホームページより抜粋
- 通常の行動が不自然に変化する
- 人目を避け、多くの時問を一人で過ごす
- 強い無力感、あきらめ、なげやりな態度などが見られる
- 部屋の中に衣類やおむつなどが散乱している
- 指しゃぶり、かみつき、ゆすりなど悪習慣が見られる
- ヒステリー、強迫観念、強迫行為、恐怖症などの神経症的反応が見られる
- 食欲の変化、摂食の障害(過食、拒食)が見られる
- 自傷行為が見られる
- 不自然は歩行や座位の困難
- 高齢者に対して過度に乱暴な口のききかたをする
問題は被害者側にもあるかもしれません。
その問題がわかれば、虐待を解決する糸口が見えてきます。
緊急呼出システム
ご自宅で生活されているご老人の緊急事態をお知らせするシステムです。
不安を感じたご老人が、自らボタンを押して助けを呼び出すことができます。
緊急時に送信機のボタンを押すと、あらかじめ登録しておいた連絡先に緊急事態をお知らせできるシステムです。押しボタン送信機はワイヤレスで、好きな場所に設置できます。
※浴室やトイレでの緊急時にも設置できます。
引きひもタイプの緊急呼び出し『浴室用送信機』の引きひもを引く、又は呼出ボタンを押すと、異常を受信機に知らせることができます。
緊急事態の時、誰かの助けを呼ぶ「緊急呼出システム」が最適です。
ケアマネジャーなどに助けを呼ぶなど、被害がエスカレートしない対策が必要です。