対象別犯罪事情・防犯対策
高齢者の防犯対策
高齢者を狙った犯罪
高齢者の被害件数を主な罰種別に見ると、窃盗が56.3%(前年57.4%)で最も多く、詐欺19.0%(前年16.6%)、傷害2.6%、暴行4.1%、強盗0.2%となっています。
また、高齢者が被害者となる割合の高い罪種について見ると、詐欺、殺人が、全刑法犯被害件数に占める高齢者の割合より高くなっています。
高齢者の被害に遭う割合の高い場所は、女性の殺人、強姦、暴行、傷害、脅迫、恐喝、窃盗犯、詐欺、強制わいせつは一戸建て住宅。 強盗、公然わいせつについては道路上です。
男性の殺人、脅迫、恐喝、窃盗および詐欺については一戸建て住宅。強盗、暴行、傷害、恐喝および公然わいせつについては道路上が多くなっています。国民の4人に1人が高齢者と、日本は世界でトップクラスの高齢化社会です。少子高齢化社会は、地域コミュニティの低下を招き、特に都市部においては「隣人の顔が見えない」というコミュニティの希薄な地域社会ができており、それが犯罪者にとって狙いやすい環境となっています。
農村部においても若者がほとんど都市に出てしまい、子供と高齢者ばかりといった村が増えています。隣人の顔は良く知っていても、皆昔からの習慣で「鍵をかけない」無防備な状況です。「鍵をかけると留守だとわかるからかけない」といった考え方もあり、今まで安全だったからこれからも安全だといった無防備さに犯罪者はつけ込みます。実際に窃盗犯の中には「日本の田舎は泥棒天国」と豪語する者もいます。
内閣府「令和3年版高齢社会白書」によると、2015年の65歳以上の一人暮らしの男性は約192万人、女性は約400万人でした。
高齢者だけの住居や高齢者が一人暮らしの場合、
「うちには高価なものなどないから、盗まれるものなどない」
➡泥棒が盗むのが大きく変化。現金や貴金属以外にキャッシュカードやクレジットカード、ノートパソコンや家電製品、農作物、金属物、食料品や自転車、バイクまで、あらゆるものを盗んでいきます。
「外出はあまりしないから、泥棒には入られない」
➡住人の留守中を狙う「空き巣」以外に、夜間就寝している間に侵入する「忍び込み」もあります。住人が昼寝や食事などをしているすきに侵入する「居空き」もあり気を抜くことはできません。在宅時に侵入されると偶然出くわした結果「居直り強盗」に変身・・・といった可能性もありよけいに危険です。
警察庁の犯罪統計資料によると、「忍び込み」「居空き」など住人が在宅中に侵入するケースは、3割を超えていますので、在宅中も各扉の鍵をかけるなど、注意が必要です。
詐欺による被害
高齢者の危険を考える上でのキーワードは「無防備」「無関心」「孤独」です。子供や孫と同居しない高齢者が増えているなど、昔の高齢者の社会環境とは大きく異なっておりそこに留意をする必要があります。
高齢者を狙った犯罪としては、昨今「オレオレ詐欺」など振り込め詐欺や悪徳リフォーム、年金詐欺、悪徳商法等があります。
特に詐欺被害の根底には「孤独」があり、被害に遭った高齢者は「親切に話を聞いてくれた」「親身に相談に乗ってくれた」と犯人を話しており、日頃より社会から隔離され孤独であるところに犯罪者がつけ込んでいることがわかります。
高齢者の多くが土地や現金などの財産をある程度持っており、そしてその管理に関してのんきで無防備となっています。詐欺被害の一部は認知症の高齢者ですが、それ以外であっても判断するための情報が少なく、結果犯罪被害に遭っているケースが多いです。
そして、何かトラブルに巻き込まれても相談する人が身近にいないため泣き寝入りのままということもあります。
空き巣被害や強盗に関しても、高齢者の家庭は狙われやすい対象です。「泥棒が入ってもうちには盗られる物がない」とタカをくくっていたり、身体能力の衰えに気がつかない高齢者は「昔とった杵柄」とばかり犯人に立ち向かい、命に関わるような惨事になっていることも多いです。
地震、洪水、台風など自然災害や火災、急病・孤独死なども高齢者を取り巻く危険です。
高齢者の安全を確保するためには、「無防備」「孤独」「無関心」に陥らないようにする必要があり、地域コミュニティの復活、ご近所との親密な付き合いが不可欠となってきます。地域ぐるみでの防犯意識の高揚や防犯情報の提供も必要です。
振り込め詐欺、オレオレ詐欺とは
オレオレ詐欺とは家族を装って電話をかけ、事故に遭って至急金がいるなどと演技をし、高額な金を振り込みさせる詐欺手口です。複数の人間が弁護士、警察官、被害者などの役割を演じる巧妙な手口もあります。「振り込め詐欺」の一種です。
振り込め詐欺対策
オレオレ詐欺以外にも、身に覚えのない有料電話情報、ツーショットダイヤルなどの情報料などの請求書をはがき・封書、電子メールで送付する「架空請求詐欺」や、実際には融資しないにもかかわらず融資する旨の文書等を送付し、融資を申し込んできたものに保証金等を名目に現金を振り込ませる「融資保証金詐欺」などを「振り込め詐欺」又は「振り込み詐欺」といいます。
振り込め詐欺対策4か条
- いずれも場合も振り込む必要はありません。不安になったり、関わりたくないと思い一度支払うと又新たな請求を受ける可能性がありますので無視することが一番です。
- 債権回収業者や融資会社などに電話、FAX、電子メール等で連絡することは、個人情報を相手に知られることになるため、絶対にしてはいけません。
- もし業者から電話があった場合には「利用していないので支払わない」とはっきり答えすぐに警察へ連絡する。
- 脅かしや悪質な取り立てを受けた場合や、トラブルになりそうな場合にもすぐに警察に相談する。
悪徳リフォームとは
屋根の無料点検などを口実にしつこい勧誘を繰り返し、点検をした後高額なリフォーム工事を契約させるといった被害です。
特に認知症のお年寄りに対して複数の悪徳リフォーム会社が複数の工事を次々に契約するといった被害が多発しています。点検商法、工事内容など詳細記載のない契約書、効果のほとんどないリフォーム内容などが問題となっています。
年金詐欺とは
架空団体や日本国民年金協会の名を騙り年金受給者等に対して、「国民年金を納めていない方については滞納処分が開始され、財産が差し押さえられることもあります。」や、「現在、受給している年金額に誤りが発覚し、「国民年金特例法」より過払い分を返金しないと以後の年金を停止します。」といった不審な文書が送付されたり、社会保険事務所職員を名乗り未納分の保険料を支払うように家まで訪れ支払いを求めたりして不当にお金を搾取する詐欺行為です。
催眠商法とは
「催眠商法(SF商法ともいう)」とは、チラシや、くじ引き、景品などで通行人を誘い、会場に呼び込んだ後、景品を無料で配ったり、巧みな話術で雰囲気を盛り上げ、会場にいる人を興奮させて、冷静な判断を失わせてから、高価な商品を買わせる詐欺商法です。