対象別犯罪事情・防犯対策
女性の防犯対策
女性にはこんな被害が発生しています。
「女性が夜一人歩きしても大丈夫な国・日本」と言われた日本の安全神話が残念ながら崩れています。
女性が思いがけない犯罪被害に巻き込まれるというケースが増えており、中でも性犯罪は、女性やその家族の平穏な生活を崩壊させ、社会に著しい不安を与える憎むべき犯罪です。
少し前になりますが、平成19年8月愛知県千種区の路上を歩いていた31歳の女性に道を尋ねる振りをして3人が強盗目的で拉致、車に連れ込み、被害女性が命乞いするなか用意していたハンマーで打ち付け、女性の頭に袋をかぶせ窒息死させ岐阜県の山中に埋めるとともに所持金を奪った事件がまだ生々しく記憶に残っています。この頃より犯罪の凶悪化が進んできたのではないかと感じます。
女性の被害件数を主な罰種別に窃盗が57.9%(前年57.4%)で最も多く、詐欺10.1%(前年8.8%)、暴行7.9%(前年8.3%)、傷害4.7%(前年4.9%)、強制わいせつ2.9%(前年2.8%)となっています。
また、女性が被害者となる割合の高い罪種について見ると、脅迫、強姦、公然わいせつの他、強盗などが高くなっています。
盗撮、ストーカー、痴漢、強姦等性犯罪や、空き巣、強盗、ひったくりなど女性を狙った犯罪が急増しておりその種類や手口も巧妙化してきています。
充分な対策を行い、犯罪者に狙われないようにしましょう。
女性を狙った犯罪事例
- 高級バックを狙ったひったくり多発。盗んだバックは高値で売れる。
- エレベータ内で強制わいせつやキャッシュカードなどの強盗被害。深夜に一人で乗り込んだ女性ばかり狙う。
- 高級クラブのホステスが閉店後帰宅のためにタクシーを呼び止めようとしているところを背後から襲われひったくり。
- 配線盤検査を装い女性マンションに押し入る強盗傷害・強制わいせつ事件。
- 女性が運転している車と接触事故を起こし、自分の車に引っ張り込んで連れ去る監禁傷害事件。
- 窓から見えるカーテンの色で女性の部屋と目星をつけ電信柱を伝って2階以上のマンションベランダに入り込み侵入、強制わいせつ被害。
- カメラ付き携帯電話で盗撮、写真を不特定多数にメールで回され、街角で見知らぬ人に声を掛けられる被害。
- 銀行から預金を引き出した後、路上で後ろから上着に汚物をかけられ、近づいてきた外国人に教えられて、拭いているうちに鞄をすり替えられた。
- 不動産会社で賃貸申込みの女性に睡眠剤入りのお茶を飲ませ強制わいせつ。
- 女性専用マンション。オートロックシステムなどの安心感からか施錠忘れが多く、無施錠の窓、玄関から侵入被害多発。
女性が犯罪に巻き込まれないための防犯対策
住宅・マンションの防犯対策を充分に行い、不審者が侵入できないようにする。
- 窓・扉の錠前はピッキング、サムターン回し解錠など破壊行為に強いタイプのものに変更し、2つ以上付ける。補助錠は外部から見えない場所に取り付ける。
- 窓ガラスは防犯フィルムを貼るか、防犯ガラスに変更する。
- お風呂場・トイレの窓も必ず鍵をかける。格子が場合は外部から取り外しが簡単にできるタイプのものでないか確認し、ビス穴を潰すなどして外されないように、特殊な工具を使用しないと外せないタイプのものに取り替える。
- マンションの高層階といえどもベランダの窓からの侵入が多いため、開け放して就寝しない。
- オートロックシステムを過信しすぎず、施錠を必ずする。
- 防犯システムを設置し、不審者が建物内に入る前に音と光で撃退する。
- 住居を決定する場合には周囲から見通しが良いか、外灯など明るいか、隣から覗かれないか、防犯システム・カメラシステムの有無や管理人の有無などセキュリティ度を充分に考慮し入居を決定する。特に女性の一人暮らしの場合には最優先条件とする。
- 玄関回り、ベランダなどはいつもきれいに清掃しておく。汚いと「この家の人はだらしがない(隙がある)」と思われる。
- 建物周囲に足場になるようなものを置かない。
一人暮らしの場合には特に外部から一人暮らしであることを気づかせない。
- 表札には男性の名前を併記し、女性の一人暮らしでないことをアピールする。
- 自分の名前や住所、電話番号など他人に知られたくない情報が書かれた郵便物、書類など確実に裁断し、個人情報の流出に注意する。SNSなどにも住所や会社、通勤通学経路、行きつけの店など個人情報を掲載しない。
- 洗濯物は男性用の下着も一緒に干す。又は外から見えるところには干さない。
- 玄関には男性用の靴を常に置いておく。
- 家に帰ってきた時には、ブザーを鳴らしてから鍵を開け「ただいま!」と言いながら入り、家に家族がいることをアピールする。
- カーテンはできる限り地味目で厚手のものを使用し、外部から覗かれないようにする。一見して女性とイメージされる色・柄は避ける。
- 郵便物の盗難ができないように注意する。郵便受けは鍵があること、又手を差し入れられないようにすることが大切です。
- 受け取った郵便物は細かく切ってゴミに出す。個人情報が外部に漏れないようにする。
- アンケートなど相手や目的が特定されないものには個人情報を記入しない。インターネットのアンケートや懸賞サイトなども注意する。
- コンビニエンスストアなどでお弁当などを買う場合でも、できる限り一人分ということがわかりにくいようにする。(後をつけられて住まいを特定されストーカー被害に遭うのを避ける)
- 普段から近所づきあいを良くしておき、何かあったときには隣人に助けをもとめられるようにしておく。
- 旅行などで家を数日空ける場合には郵便や新聞を止めるなどし、外部から無人であることが分からないようにする。
- 留守番電話の声にも注意し、「若い女性」というイメージ・内容にしない。
- ナンバーディスプレイのサービスに加入し、電話番号を確認してから電話に出る。見知らぬ電話番号や非通知の電話には出ない。
- いたずら電話に対しては毅然とした態度で意思表示する。おどおどした態度を見せない。
押し入り対策
『下の階の者ですが、あなたの部屋から水漏れして困っています。水漏れ箇所を調べさせてください』
『隣の人の荷物を預かってください』
『メーターの調査をしています』
『ピザの宅配です』『宅配便です』
いろいろな口実でドアを開けさせ、室内に入った瞬間、凶器を使って脅かし、強盗や暴行などの犯行に及びます。
- 必ずドアスコープやカメラ付きインターホンなどで相手の身分と要件を確認する。
- いつから水漏れがしたのか、誰からの荷物か、何の検査か、誰の依頼かなど詳細を確認し、心配な場合は荷物を玄関の前に置いてもらったり、検査担当会社に確認の電話を入れるなどをしてからドアを開ける。
- チェーンは簡単には外さない。
- 少しでも不審に思うことがあればドアを開けず管理人や警察へ通報する。
- 夜間などの時間帯は特に注意。
- 非常用押しボタンや携帯用ブザーなどをすぐに押せるようにしておく。
- 犯人は物陰や背後に潜んでいてドアを開けた瞬間に押し入ってくることがあるため、外出から戻ってきた時にも、周囲を確認してからドアを開ける。
エレベータ内での危険を防ぐ
- エレベータ内は密室となるため、乗る前には周囲を確認し、怪しい人と二人きりにはならないようにする。
- 複数で乗ったにもかかわらず途中で二人きりになりそうな時には途中で下車する。
- いつでも停止ボタンや緊急非常ボタンを押せるようにエレベータに乗った時には立ち位置を操作ボタンの前にし、背をエレベータの壁にする。相手に背中を見せない。ドアの正面に立たない。
- 犯人は物陰に潜んでいて、ドアが閉まる直前に乗り込んでくることもあるが、びっくりして後ずさりしない。
- 怖いと感じた時は、ボタンを全部押して停止した階で降りる。
- 相手に隙を見せない。毅然とした態度で望む。
- マンション等に入居の場合、エレベータの中に監視カメラがあるかどうか確認して、セキュリティ度の高いマンションを選ぶ。
電車の中での痴漢対策
- 混んでいる時間帯、乗車場所(階段・改札付近)をできる限り避ける。
- 混んでいる電車にはできる限り一人で乗らないで友人と一緒に乗る。
- 女性専用車両が有る場合には利用する。
- いつも同じ場所・時間の電車に乗っている人を狙う痴漢もいるため、電車を変える。
- 周囲に注意を払い、不審な人は避ける。
- 女性の隣を確保するなど安全な立つ位置をうまく確保する。ドアの付近や車輌の角など動くことのできない場所を避ける。
- できる限り背後に人が立たないようにする。
- 列車に乗る場合には服装に注意し、露出度の少ないものにする。
- 鞄や本などでブロックし、接触する機会を防ぐ努力をする。
- 不幸にも遭遇した場合には毅然とした態度で嫌だということを声を出していう。黙っているとエスカレートするため我慢しない。
- 痴漢の犯人の触っている手を捕まえて、警察・駅員に訴える。泣き寝入りをしない。
道路での注意
- ひったくりに遭わないように鞄は車道の進行方向の反対側に持つ。できれば斜めがけがより安心。
- 車道寄りを歩かない。
- 停車している車の中に人がいる場合には、中に引き入れられない程度に一定の距離を離れてその横を通る。特に夜間は反対側を歩くなど注意する。
- 後ろをつけられていないかどうか注意し、怖いと感じたら近所の家やお店に飛び込む。特に夜コンビニエンスストアからの帰りなど注意する。
- 銀行でお金をおろした後なども後ろをつけられていないか注意する。
- 夜間の一人歩きはできる限り避ける。駅から家までの複数の道を把握し、人通りや明るさなどから最善の道、遠回りでも人通りのある道、外灯などで明るい道を選ぶ。家族に連絡する、タクシーを利用するなどして危険を避ける。繁華街なども歩かない。
- 携帯電話で通話又は通話している演技をして、いつでも何かあったら連絡できる状態であることをアピールする。
- 防犯ブザーなどを携帯し、常にすぐに鳴らすことができる状態にしておく。鞄の中ではいざという時には役に立たない。
- 甘い誘いには乗らない。「車で送ってあげる」「お茶を飲もう」「遊びに行こう」。一瞬でも足を止めて言葉を聞く姿勢を見せると相手に付け入る隙を与えるため無視することが大事。立ち止まらないように。
ドメスティック・バイオレンス
「ドメスティック・バイオレンス」とは英語の「domestic violence」をカタカナで表記したものです。略して「DV」と呼ばれることもあります。
「ドメスティック・バイオレンス」の用語については、明確な定義はありませんが、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです。
配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、「DV防止法」と呼ばれることもあります。
民間シェルター等の民間支援団体が重要な役割を担っているが、財政面、人的基盤等において厳しい状況にあります。
被害を受けている人、見かけた人は勇気をもって相談をすることが大切です。相談窓口は、緊急性がある場合は警察、それ以外は配偶者暴力支援センター、民間シェルターなどがあります。
配偶者からの暴力事案等及び児童虐待事案についても、外出自粛等による生活の不安やストレスの増加によって、被害が増加・深刻化することが懸念されたところ、配偶者からの暴力事案等の相談等件数や警察から児童相談所に通告した児童数の増加傾向にはいずれも大幅な変化はみられませんでした。
他方、常に配偶者が一緒に家にいることによる電話相談の難しさ、地域社会における子供の見守り機会の減少等によって事案が潜在化している懸念もあり、配偶者暴力相談支援センター等に寄せられた相談件数が前年度比約1.6倍に増加しています。