犯罪別情報
万引き
万引きも窃盗です
万引きとは、営業時間中の商店・小売店(百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア・書店・レンタルビデオショップ・ドラッグストアなど)において、販売のために展示・陳列している商品や商品見本、備品などを購入客を装って店の目を盗んで窃取することをいいます。
万引きは「窃盗罪」にあたり下記の通り10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する犯罪です。
小売業・サービス業などの店頭で多発している万引き犯罪。
主として、セルフ販売を行っている企業にとっては深刻な経営問題となっています。
青少年の健全育成面や治安維持の面からも社会問題となっている状況です。
全国の万引き犯の状況(警察庁:犯罪情勢より)
上記の検挙件数は、警察庁が調査した件数です。 警察署に届けられなかった件数を含めると実際の犯罪件数はさらに多い状況です。
万引きの実態を把握するのに興味深い資料が 警備保障新聞(2007.6/25)に掲載されていましたのでご紹介いたします。
全国万引犯罪防止機構による万引き被害の現状調査
- 調査対象
主として、セルフ販売事業を対象(期間:平成18年度)
百貨店、スーパー、ホームセンター、カー用品、総合ディスカウント、コンビニエンスストア、ミニスーパー、生協、靴屋、時計・めがね屋、CDショップなど - 回収状況
有効発送数(837件) 有効回収数(401件) 有効回収率(47.9%)
- 確保した万引き犯の人数
310社の平均は178.9人
業種別:ホームセンター・カー用品約420人
スーパー約412人
総合ディスカウント約233人 など - 万引き犯の内訳
男性:3万 634人
女性:2万5,707人
不明:633人 - 万引被害件数の多い商品
- 高級化粧品
- 電動工具
- 書籍・コミック
- 楽器
- CD・DVD
- ガム
- 靴下 など
- 万引犯罪の原因
防犯意識の欠落 77.6%
店舗大型化による従業員の守備範囲の拡大 58.1%
従業員の防犯意識の低下(パート比率の増加等)35.2%
経済不況 27.7% など - 万引き犯を減少させた要因
防犯カメラを増やした 41.9%
店内レイアウトの変更 28.7%
万引き防止装置の導入 20.7% - 万引犯確保後の処理について
全件警察に通報。
家庭や学校に通報するかはケースバイケースの処理。 - 万引き犯の防犯対策
青少年の健全な育成面から万引きさせてはならないと考える 68.4%
従業員に声をかけさせる 68.4%
防犯カメラの設置 79.8%
商品陳列の工夫 51.1%
保安警備員を配置 43.9% など
従業員教育 →朝礼等で万引防止をテーマにする 39.9% など
万引きに対する防犯対策事例:シーン別
集団で万引き:実行犯1人を人垣で死角をつくり商品を奪う手口
→対策としては、
お客様の目を見て元気で明るいあいさつをする。
「いらっしゃいませ。何かお探し商品がありましたらご案内いたします」など、お客様に関心をもっている姿勢を示すこと。
おとり万引き:1人が従業員の注意を引き付け、仲間の実行犯が商品を奪う手口
→対策としては、- お客様が多い季節、曜日、時間帯を調査し従業員の配置計画の見直しを行う。
- 日頃から警察との連携をとり、かつレジ台の後の壁に連絡表を表示する。
- 棚卸しなどで不明ロス額の多い商品には、万引き防止タグを取り付ける。
- 出入り口に万引き防止装置を設置する。など。
店内を徘徊しての万引き:防犯カメラやミラーの死角で未精算商品を奪う手口
→対策としては、- 監視している方向がわからないドームカメラを設置する。
- 不自然なほど大きな袋を持っているお客様には気をつける。
- レジで精算した後の売場に戻り、かつ滞留時間が長いお客様には気をつけること。
従業員の目の届かないところでの犯行:試着室やトイレでタグを剥がして持ち出す手口
→対策としては、- トイレに未精算商品の持込禁止のステッカーを貼る。
- 持ち込みそうなお客様には声をかける。
- 試着できる商品には、自鳴式タグを取り付ける。
その他の万引き防犯対策
- 万引きにあいやすい商品はレジ付近など目につきやすいところに陳列をする。
- 死角が無いように防犯カメラを設置。その後変更されてないか定期的に確認を行う。
- 万引き防止装置の設置。 など。
「万引き倒産」という言葉が書店にはあります。万引きで利益がなくなり倒産するという意味ですが、それ以外にも万引き犯を追いかけて万引き犯が踏み切りを乗り越え逃走しようとして列車にはねられ死亡するといった事件もありました。この書店経営者は店を閉めることになりました。
平成19年10月にはコンビニエンスストアでかごごと店の外に持ち出す「かごダッシュ」で万引きされたのをコンビニエンスストアのアルバイト店員が追いかけ刺されるといった痛ましい事件もありました。
中学生に、「このあたりで万引き防止装置の付いていない店は?」と聞くと皆知っている・・というほど、学生も万引防止装置のことは認識しています。何も対策をしていない店が狙われるということもありますが、遊び感覚で万引きした商品をわざわざ店の近くのゴミ箱に捨てるといった被害もあります。
レンタルビデオ店などでは中身のビデオは展示棚に置いていませんが、わざわざ外のカバーだけを万引きするといったこともあるようです。カバーだけでも店の方では商売に支障が出てしまいます。
地域に密着した店では「捕まえたらよく知っている人の子供」といったことも多く、その後の対応に苦慮している店も多くあります。
やはり、万引きしにくい環境を作り、万引き犯を作らないといったことが重要です。
又、お店で売られている商品の値札を安い物に付け替えて買う行為もあります。これは万引きが窃盗罪なのに対し「詐欺罪」にあたります。
「古書店」(または新古書店と呼ばれる店)、またその他の小売店などで、「値札の貼り替え・万引きはやめましょう」などでは商品についている値札を、他の安い商品の値札と貼り替えて、安い値段で買う、という行為や本のカバーだけを安い値段のものにつけかえて、中身を高い値段の本にするといった行為もあるようです。
こういった行為も万引きと同様、きちんと防犯対策を講じて、防犯監視カメラや防犯ミラーなどを設置したり陳列棚のレイアウトなどを考慮して死角を作らないこと、「いらっしゃいませ」と顔を見て声をかけることなどが大切です。