施設別犯罪事情・防犯対策
マンション
現代のマンションにおける犯罪
「マンションは高層だから泥棒の被害に遭わない」「最新のオートロックシステムがついているから安心」もしこんな風に考えているとしたら大間違いで、マンションで犯罪が発生しています。
一戸建て住宅が33.0%(前年36.4%)、マンションが12.2%(前年13.0%)で合計すると45.2%(前年49.4%)が住宅が対象です。
平成2年住宅の侵入窃盗比率が低くなっているのは、コロナ禍でテレワークが進み、在宅する時間が増えたことが原因だと推測されます。
一般事務所は11.1%(前年7.9%)、商店は6.5%(前年6.5%)
警察庁によると、住居侵入事件の認知件数は、平成15年の190,473件をピークに減少。令和4年は15,692件と減少していますが、まだまだ高い水準です。このうち、4階建て以上の中高層マンションは全体の4%を占めています。
官民で取り組んだマンションの防犯対策
平成12年頃より外国人窃盗団による「ピッキング」の手口により、特にマンションは多くの侵入窃盗被害を受けました。
官民が一体となって「ピッキング等破壊行為に強い錠前の開発と普及」「防犯環境設計の考えに基づく防犯マンション登録制度の実施」「防犯カメラの普及」などにより侵入窃盗被害数は劇的に減り改善しました。
しかしながら、オートロックや防犯カメラを過信して戸締りをしなかったり防犯意識が低くなり犯罪対象となっている案件も多々あります。
また、窃盗犯は「防犯対策をしていない=防犯意識が低い=狙いやすい」と考えてターゲットにしますので件数が改善していたとしても安心して対策をしないのは本末点灯です。
コロナ禍でここ数年在宅率が上がり、海外から人が入ってきていなかった状態から元の生活に戻りつつある現在、もう一度気持ちを引き締める必要があります。
侵入口と手口
マンションなど共同住宅においては「無施錠」がもっとも多く、「窓から」にてもっとも多く侵入されています。
マンションなど共同住宅においてはガラスに対する対策がもっとも重要です。
又、「無施錠」は4階以上で40.6%、3階以下で51.5%あり、「窓」「施錠されていない表出入口」、「その他の出入口」、から侵入されています。「表出入口の無施錠」が令和元年には2,617件もあったのにはちょっと驚きます。
ゴミだしや見送りなどちょっとの時間に安心して無施錠で外出といったことも原因ではないかと推測されます。
又、オートロックがついているから過信して無施錠というのも良く聞きます。
どんな時でも短時間でも施錠をするというのは防犯の基本です。
侵入窃盗犯は「防犯対策をしていないマンションや居室」「防犯意識の低い住民の居室」を狙います。隙を作らないことが大事です。
「ピッキング」や「サムターン回し開錠」は4階以上の共同住宅では2.3%あり、減少したとはいえ、マンションなど共同住宅においては「ピッキング」や「サムターン回し開錠」などへの対策も必要です。
(錠前の強化や補助錠・ガードプレートなどの設置、防犯システムの設置など)
特に大阪では、平成17年度には東京や埼玉、愛知などほかの都市部で14~25%減少する一方、大阪だけが前年比で8%増加。関東で暗躍していた外国人窃盗団が大阪に流入してきたと考えられています。現金や貴金属以外にもパソコン、デジタルカメラなどの電化製品を根こそぎ盗んでいくケースが多く、外国人窃盗団がよく使う手口も急増しています。
- 特殊な金属棒を鍵穴に差し込む「ピッキング」が約550件(前年約190件)
- 玄関ドアに穴を開けて内側の鍵つまみを回す「サムターン回し」が約290件(同100件)
- 郵便受けを壊して同様につまみを回す「郵便受け壊し」も約270件(同約40件)
外国人窃盗団は、防犯対策が進むと、その地域から別の防犯対策の進んでいない地域に活動拠点を移します。武器を持っており、集団で荒っぽい手口であるため、注意が必要です。
被害者側の傾向では、一人暮らし世帯の割合が圧倒的に多く、不在を確かめやすい一人暮らしのワンルームマンションが狙われるケースが多いことを裏付けています。中でも、住民が安心しがちなオートロック式マンションの上層階で、鍵をかけ忘れたベランダなどから侵入される被害が目立っているということです。
被害にあう子どもたち
一方、少年(20歳未満)が殺人の被害者になる事件も、25年は103件、小学生だけでも26件発生しています。
平成18年3月には小学3年生男子がマンション15階から投げ落とされるという痛ましい事件がありましたが、犯人は同じマンションにて別の女性を狙うなどなんども同一マンションに侵入していたことが判明しました。同マンションでは18台の監視カメラが設置されていました。
犯人はその録画映像をTVで放映され、逃げ切れないと自首し逮捕されましたが、犯行そのものを抑止することはできませんでした。監視カメラは、犯人の早期検挙や、カメラで撮影されることによる犯罪者への心理的抑止効果が期待されますが、顔を見られることをおそれない狂信的な犯罪者や、捕まりたいので殺人を犯すなどといった犯罪者には効果が薄いことも考えられます。
安心して暮らすためには、泥棒対策のための防犯システムや不審者を入れない入退出管理システム、不審者を録画する監視カメラシステムは重要です。しかし100%防犯できるものはありません。
常に防犯意識を持つとともに、いろいろな方法を併用して防犯性を高めていくことが大切です。オートロックシステムがついているから、女性専用マンションだからといった油断で玄関扉が施錠忘れのまま、ベランダは開けっ放しのままといったことで逆に侵入しやすい環境を作っている事例も多くあります。
マンションが窃盗など犯罪が多い理由としては、下記が上げられます
- コミュニティが希薄で、「隣の人の顔を知らない」ため、犯行途中で犯人と出くわしても気づかない。
- ワンルームマンションなどは、単身者が多く、夕方電気が付いていないことで留守だということが外からわかる。
- ベランダ沿いに簡単に移動でき、一晩に何件にも侵入できる。
- 少々物音を立てても誰も不審に思わない。(他人に無関心
- 上層階などはベランダの窓が施錠されていないことが多い。
- 少々物音を立てても不審に思われない。
侵入犯行事例
- マンションで空き巣870件の手口
阪神間のマンションへ空き巣狙いで捕まった男が870件もの窃盗に関して自供しています。
男は、「空き巣狙いにどんなマンションを狙ったか」というと、- 電車の駅周辺で逃げやすい、次のマンションへの移動も簡単なため、阪神間のマンションを狙った。
- 夕暮れ時に電気がついていない部屋を狙って入った。
- マンションなら連続犯行が可能で、1棟で数戸一度に侵入でき効率的。
- 簡易バーナーで窓ガラスを焼き、熱で弱くなったガラスをハンマーで叩き割る手口で侵入した。
- 「犯罪の備えが手厚いマンションほど無施錠の部屋が見つかる」忍び込みの手口
東京都内や神奈川県で約60件の窃盗を行った男。オートロック(集合玄関扉)を開けた住民の後を付いていくなどをしてマンション内に侵入。夜間から未明にかけて無施錠の部屋を探し、住民が寝ている間に忍び込んで、一晩に1つのマンションで複数の部屋に忍び込むことも。
「手口は泥棒仲間から聞いた。犯罪の備えが手厚いマンションほど無施錠の部屋が見つかる」 - 壁面よじ登り12階でも侵入
マンション壁面の排水パイプをつかんでよじ登り、高層階の部屋に入って現金を盗んだ47歳の男。
両手に滑り止めの軍手をはめただけでマンション上層階まで登り、ベランダを伝って無施錠の窓から侵入するアクション映画まがいの手口で空き巣狙いを繰り返していた。12階まで登ったことがあるといい、100件くらいやったと供述している。 - 中国人窃盗グループ。8都道府県で155件の窃盗
オートロック式マンションの無施錠の部屋を狙い、空き巣狙い。盗んだキャッシュカードで現金を下ろす。
1億4000万円の被害。 - 高層住宅にクモ男
29階建ての高層マンションで2~11階の部屋で忍び込みが続発。警戒にあたっていた警察官が5階のベランダに隠れている犯人を発見した。
男はベランダでけん垂するような格好で11階まで上がり、施錠されていないベランダから侵入、犯行を繰り返していた。 - 双眼鏡で獲物探し、合い鍵を隠すところを確認し、合い鍵を使って侵入。
高層住宅の屋上から双眼鏡を使って向かいの団地を偵察、住人が外出する際に合い鍵を牛乳箱やメールボックスに隠すのを確認し、この鍵を使って玄関から堂々と侵入。1人で約130件の空き巣をしていた男が捕まった。侵入前には、表札から調べて電話をかけ不在確認をするという念の入れようであった。 - 「最上階のマンションは、屋上から見ると1階下なだけ・・・」
オートロックで住人が入るときに一緒にマンション内に入り、屋上に上がり、屋上から降りていく方法で高層マンションを狙っていた空き巣狙い。上の階になればなるほど開けっ放しの入居者が多い。
ベランダ沿いに隣りに移っていけば数件一度に侵入できて効率的。少々音を立てても昼間は無人のところも多く、顔を見られても声もかけられないとはある泥棒の告白。