施設別犯罪事情・防犯対策
工場
工場における犯罪
「工場は現金を置いていないので泥棒に入られない」と考えている方もまだまだ多いようですが、工場にも不審者が不法侵入したことによりいろいろな被害が発生しています。
工場における犯罪は
- 悪意を持った侵入者による犯罪
- 従業員による犯罪
- 出入り業者による犯罪
工場において不審者侵入などによるリスクとして考えられるもの
- 工場内での盗難(商品、原材料品、仕掛品、什器備品、新商品情報、個人情報、現金) 原材料の盗難に関しては特に注意が必要で、原材料の中には燃えやすいものや毒物となるものなどもあり盗まれた原材料が別の犯罪に悪用される可能性もあります。
- 工場敷地内での窃盗(金属などの盗難)・・平成18年度頃より急増。廃棄した金属板、廃材、線材などが盗まれ換金されています。屋外に野積みされたままのものも多く狙われています。
- 放火・・工場などは燃えやすい原材料や商品などもあり最も注意が必要です。
- たばこの不始末などの火災・・工場内は禁煙のところがほとんどですが、火災対策は徹底する必要があります。古い木造の建物やゴミ箱、工場関連では、廃タイヤ、産業廃棄物、中古自動車(ガソリンやオイルが残っている)など、悪戯や熱気による自然発火で大きな火災を起こした例があります。
- 異物混入・・原材料や仕掛品、商品への異物混入は企業にとって致命傷になります。泥棒の腹いせの場合もありますが、悪意を持って異物混入が目的の侵入もあり注意が必要です。
- 生産ライン停止・・不審者が機材を破壊したりすることで生産ラインが止まると大きな損害になります。
- 機密情報漏洩・・新商品情報など企業機密情報が盗まれたり漏洩する被害があります。
- 駐車場での犯罪(車上荒らし)・・従業員、来客の乗用車の車上荒らしや自動車盗難。特に乗用車内のノートパソコンが盗まれ、その中に個人情報などが含まれると信用失墜につながります。
具体的な被害事例
- 栗東市林の未稼働の工場に侵入し、配線されていた電線(長さ計約150メートル、約14万円相当)を切って盗む。
- 六ケ所 村尾駮沖付の日本原燃再処理事業所で、施設整備などを請け負っている「日揮」の資材倉庫から、金属棒4本(時価合計60万円相当)が盗まれる。盗まれた金属棒は直径約20センチ、長さ約1.5メートル、重さ500キロのステンレス製鋼材で計2トン。
- 本間ゴルフ酒田工場(酒田市宮海)の放火事件。新会社設立のための技術者引き抜き手段として、生産ラインを壊そうと工場内の構造を聞いて侵入、灯油などをまいて放火。社員に不安を与え、工場焼失や操業停止で会社に2億円もの被害を与えた。
- 大阪府守口市松下町の松下電池工業で、作業場などが入る鉄筋コンクリート6階建て「B棟」(延べ約2万7500平方メートル)の3階作業場付近から出火した。同社工場で製造されたノートパソコン用のリチウムイオン電池の出荷前試験を行う「充放電室」が火元とみられ、電池に使う液体が大量に燃えたため煙が充満したらしい。工場周辺は黒煙に包まれ、薬品の燃えるようなにおいが立ち込めた。
- 自動車メーカーで派遣社員が顧客データ4万人分を持ち出す。
- 大手自動車部品メーカー「デンソー」(本社・愛知県刈谷市)の中国人技術者による約13万件の製品データ持ち出し事件。社内のデータベースにパソコンで接続し、産業用ロボットの図面など約1700製品の電子データをダウンロードして入手。
工場の防犯対策
- 基本は敷地内に不審者が入れないようにすることです。
そのためには、塀やフェンスなどで領域を明確にして不審者の接近を制御する物理的な防御が必要です。
塀は反面死角を作ることにもなるため建物との距離など配慮が必要です。但し、塀やフェンスはあくまで善意の第三者や子供が敷地内に入るのを防ぐためのものです。
不審者の侵入防止のためには、赤外線センサーや感圧センサー、フェンスセンサーといった外周警備用侵入検知センサーを設置し、塀やフェンスを乗り越えようとする不審者をすぐに検知し守衛室に知らせるとともにベルやサイレンで威嚇撃退するということが大切です。
- 広域な敷地の場合、死角をなくすために防犯監視カメラを設置し、その映像を守衛室などで集中監視・自動録画することも必要です。
侵入検知センサーと連動させ、侵入者を検知した時の映像を確認するといった方法も取れます。最近は暗闇や逆光でも鮮明な画像で監視できる防犯監視カメラや、侵入検知センサー、人感ライトと連動した防犯監視カメラもあります。
- 工場への正門では人による入門管理や、インターホンと防犯監視カメラとでの入門管理をおこないます。 来客はその時点で把握します。
- 建物への入館には生体認証の入退出管理システムを導入し、カードやテンキー、指紋、網膜など制限の重要度に応じて採用し、あらかじめ認めた社員だけが入室できるようにします。いつ入室していつ退室したかを記録します。
- コンピュータ室や新商品開発室、原材料倉庫などはより厳重に、入退出管理システムと連動して防犯監視カメラで画像録画をする。データや薬品などの持ち去り防止などを目的とします。
- 事務所には窓・扉の開閉を検知するセンサー、立体室内侵入検知センサー(パッシブセンサー)、ガラス破壊検知センサーなどを設置し、夜間や休日の侵入者を検知し、守衛室や警備会社、管理者へ自動通報するとともに、その場で音と光で威嚇撃退します。
- 放火対策としては、屋外に燃えるようなものを放置しないということを徹底するとともに、屋外・屋内ともに炎センサーなどを設置して、異常発生時には守衛室に連絡が入り、防犯監視カメラで画像確認できるようにします。