施設別犯罪事情・防犯対策
宝石貴金属店・ブランドショップ・質店・携帯ショップ
宝石貴金属店ブランドショップ・質店・携帯ショップへの「出店荒らし」が全国で多発しています。
「爆窃団」(ばくせつだん)というのを聞いたことがありますが?
「爆窃団」は各地の宝石貴金属店向けに壁を壊すなど荒っぽい手口で侵入し、短時間で商品を盗む窃盗グループのことで、80年代後半から90年代に暗躍。その後目立った活動がなかったのが05年秋より東京都内で壁などに穴を開ける同じ手口の侵入窃盗が相次いでいます。
外国人による窃盗グループでいくつものグループが実行犯を変えながら数名で分業化して犯行を行っています。
- 侵入手口に関しては下記のようなものが多い。
・バールやコンクリートブロック等で窓ガラスを割って侵入
・外壁に穴を開けて侵入
・盗難車をシャッターにぶつけて壊し、その隙間から侵入 - 短時間で、非常に荒っぽい手口がほとんど。物音を立てることや近隣に気づかれることを何とも思わず、短時間で侵入し、逃げる(所用時間1~5分)という特徴がある。
- アジア系の外国人と地元の暴力団組員との窃盗団などプロ集団での犯罪がほとんどである。
- 予め営業中に訪問し、店内のレイアウトや「どのショーケースに高額商品があるか」などを下見して犯行に及んでいる。
宝石貴金属店・ブランドショップ・質店・携帯ショップへの侵入手口の特徴
①凶悪 荒っぽい。周囲に気づかれようが、音を立てようが気にしない。
②短時間 数分で犯行を終える。警備員の到着前に犯行終了。
③集団での犯行 窃盗グループによる犯行
●神奈川県藤沢市南藤沢の小田急百貨店藤沢店5階の宝飾品売り場で、ショーケースの鍵が数か所壊され、貴金属や宝石類が盗まれているのを出勤してきた店員が見つけ、警備員が110番通報。被害は約630点、約2億円に上る。同百貨店の5階の窓ガラス(縦1.2メートル、横1メートル)は三角形状に割れていた。5階には広告用の横断幕を掲げるための足場があり、犯人はこの足場を使用して5階の窓から侵入したと推測される。割れた窓がある正面外壁はJR藤沢駅に面し、「秋の北海道物産展」と書かれた垂れ幕(縦17メートル、横5.4メートル)がかかっていた。裏には支柱が1.8メートルおきに壁面に沿って立っていることから、犯人が支柱を登ったうえ窓ガラスを割って侵入したとみられる。(07.9)
●23日午前4時40分ごろ、藤岡市中栗須のショッピングセンター内の貴金属店でショーケースが割られ、指輪やネックレスなど36点(約250万円相当)が盗まれたと警備会社を通じ、110番通報があった。この貴金属店は2建てで店舗は1階。2人組みが自動ドアを叩き割って店舗に侵入。ケース20台のうち3台がハンマーかバールのようなもので割られて、中の貴金属、指輪やネックレスなど36点(約250万円相当)が盗まれた。店舗中にはガラス片や商品にまじり、犯行道具の一部とみられる赤いプラスチック片が落ちていた。店内外に約15機の防犯カメラがあり、わずか2分間で立ち去る様子が録画されていた。(07.5)
●貴金属300万円相当盗まれる=神奈川・藤沢のスーパー「イトーヨーカ堂湘南台店」で、店内に設置してあるセンサーが侵入者を感知し、警備会社に自動通報した。宝石売り場から約100点、300万円相当の貴金属類がなくなっていた。犯人は店1階の出入り口のガラスを石でたたき割って侵入。1階宝石売り場のショーウインドーも破壊し、陳列中のネックレス、ブレスレットなどを盗んでいた。(07.5)
●大阪市北区角田町の阪急百貨店うめだ本店で、同店8階にある美容室の窓ガラスが割られているのを出勤してきた店員が発見。連絡で駆け付けた警備員が、ショーケースの鍵がこじ開けられ、ロレックスなどの高級腕時計約300個、約2億円相当が盗まれていた。(07.5)
●姫路市の百貨店「ヤマトヤシキ」姫路店で、警備用のセンサーが異常を感知。警備会社から「7階の天井が壊されている」と110番があった。7階の宝石売り場にあるショーケースがこじ開けられ、指輪やネックレスなど約150点(計約700万円相当)がなくなっていた。7階の店舗部分と階段部分はシャッターで仕切られていたが、シャッターを挟んで階段の踊り場と、売り場の天井の2カ所に大人が入れるほどの大きさの穴が開いていた。3階の喫茶店の窓ガラスにも侵入ルートとみられる穴が開いていた。(07.5)
●富山市西町の百貨店「大和」富山店で、貴金属約1億7000万円相当(販売価格)が盗まれた。宝飾店、時計店、真珠店でショーケースの鍵が壊され、指輪や時計など約900点が盗まれていた。3店舗が入っている3階の窓ガラスが割られており、犯人はここから店内に侵入したとみられる。 (07.5)
●岡山市の3階の貴金属売り場で、陳列台の鍵が壊され、高級腕時計や指輪など計約200点がなくなっているのを出勤した男性店員が見つけた。被害額は数千万円に上る。盗まれた時計などは海外有名ブランドの輸入品が中心。荒らされたのは貴金属売り場だけで、17日午後7時半の閉店後、警備員が巡回した際には異常はなかった。表町商店街アーケードに面した2階の窓ガラスが割られており、犯人が侵入や逃走に使った可能性もあるとみている。犯行時に店内の警報は鳴らなかったという。(07.5)
●姫路市の山陽百貨店の警備員から「5階の宝石売り場が荒らされている」と110番があった。5階の一角で宝石類を扱っている「インポートプラザ輸入雑貨売り場」のショーケースが壊される等して高級腕時計約300個やブランドバッグがなくなっていた。被害は判明分だけで約8000万円相当。5階の外付け階段近くの窓ガラスが割られていた。(07.5)
●川越市の丸広百貨店で、5階の時計店「東急タイム」が荒らされているのを警備員が発見。店内のショーケースが割られ高級腕時計約170個が盗まれ、被害額は販売価格で1億円超。厚さ約10センチのガラスブロックなどでできた3階の外壁に、約60センチ四方の穴が開けられていた。警備員が午前零時ごろ巡回した際異常なし。午前5時ごろ通行人男性が百貨店からロープで地上に降りる男2、3人を目撃。(07.3)
●家電量販店「ヨドバシカメラマルチメディア町田」の4階貴金属売り場で、高級腕時計やバッグなど約230点(計約2300万円相当)が盗まれているのを店員が見つけ、110番。4階非常階段脇のコンクリート製外壁(厚さ13センチ)に直径約70センチの穴が開き、売り場のガラスケースが割られて陳列商品が盗まれた。犯人は外壁の穴から侵入したとみられる。午前零時半ごろ、店員が見回った際は異常はなかった。警報装置は店の出入り口付近だけ設置。(07.3)
●東京有楽町の貴金属店で店の外壁が壊され宝石50点(約1000万円相当)が盗まれそうになった。防犯センサーが作動し、警察官が駆けつけると、店内が荒らされ宝石入りのバックとバールが見つかった。(05.11月東京)
●福岡で格子を外され窓ガラスを割られて、ガラスケースに入っていた指輪や時計など100~150点(被害総額500万~1000万円相当)が盗まれる。(05.11月神戸)
●徳島市の時計店で、入り口シャッターが乗用車で突き破られ、店内の陳列ケースのガラスが破られ、ロレックスなど高級時計150点が盗まれた窃盗事件。警報装置が作動し、警備会社からの110番通報で駆けつけた警察官が発見した。シャッターにつっこまれている乗用車は同日未明に盗まれた盗難車。(05.10月徳島県)
05.6月
●東京都有楽町複合ビルで外壁が開けられ約6100万円相当の高級腕時計が盗まれた。別の宝石店2件でも7月に約2億円相当の宝石盗まれた。外壁に穴を開けられて侵入。(05.6~7月東京)
●京都舞鶴のショッピングセンターで宝石貴金属店の外壁ガラス1枚(縦約2m幅約1m)が割られ、店内ショーケースが割られ指輪など約95点(約580万円相当)が盗まれた。警備会社から通報を受け3分後に警察官が駆けつけるが間にあわず。店内にはコンクリートブロックが落ちており、ガラスはコンクリートブロックで割ったと見られる。ショーケースは高額商品が入っていたものが割られており、事前に下見をしていたと思われる。(05.11月京都)
●秋田県内の宝石店の警備機が作動し、連絡を受けた警察官らが駆けつけたところ、入り口のガラスが割られ、ショーケースから高級腕時計6点(時価総額約1100万円)が盗まれているのが見つかった。宝石店が警備会社から受けた報告によると、警報が作動したのは午前3時29分で、同署員が到着したのは約4分後。さらに約4分後に警備会社が到着したという。警察は、警報が作動してから1分半ぐらいの間の犯行ではないか、とみている。(05.6月秋田)
●外壁に穴が開けられ侵入、売り場のショーケースを叩き割られ、中にあった宝石や外国製腕時計計150点(1億5000万円相当)などが盗まれる。5階建てビルの1階でブロック4個分がくりぬかれていた。ノミのような工具で壁に穴を開け、警備員が到着するまでの短時間で盗み穴から逃げた。犯人グループは店内の構造に詳しく下見をしていた可能性が強い(04.3月福岡)
●東京の貴金属店で35億円の貴金属を奪われた強盗傷害事件。4人組みの外国人の1人が商品を見せるよう依頼し店員が地下に商品を取りに行った隙にもう一人が貴金属を奪っていた。昼食時間で従業員が少ない時間帯を狙い、下見を通じて役割分担、男性社員を分散させて犯行におよんでいる。(04.3月東京)
●貴金属店のガラスドアをバールで壊して侵入。口に懐中電灯をくわえながら宝飾品を首から提げた袋に素早く入れ、約3分で盗みを終え車で逃走。9県で73件、被害総額3億3000万円の6人の窃盗団。(03.10月福岡)
●16県1000件以上約8億円の暴力団組員をリーダーとする38人の窃盗団。盗品はインターネットで販売。関西を中心にブランド品を扱う店を雑誌よりターゲットを決め、夜間に盗難車を店にぶつけてシャッターを壊すなどの手口で盗難を重ねる。(02.2月)
●強盗に入った宝石店で女性従業員6人を縛った上で280点の宝石を盗むとともに、店内にガソリンをまきライターで放火。全員を殺害した。(00.5月栃木県)
●ビルの4階にある店舗入り口のドアをバールのようなものでこじ開けて侵入。6階から外壁に垂らしたロープを伝って犯人は逃げた。正面のパイプシャッターを「電動チェンソー」で切断して侵入。バールを使ってシャッターや鍵を強引にこじ開け、ケースを叩き割り、短時間にごっそり盗み出す。(98.4月東京)
●アーケードの屋根に出られる窓ガラスが割られ侵入▽陳列台を割らず、鍵を壊し貴金属を盗んでいる▽防犯センサーを避けて犯行に及んでいる―など手口が酷似している。
盗品の処理方法
- 都内マンションで外国人グループが市価の2~3割で盗品を密かに売りさばく闇市場で現金化。
- 外国人が空港などから本国へ盗品を輸出。
- インターネットのオークションで販売。
宝石貴金属店の防犯対策ポイント
多くの宝石貴金属店は警備会社と契約したり、自主防犯システムを設置していますが、数分で犯行を終える窃盗団の犯行には、それだけでは効果があるとは残念ながら言えません。現在のシステムにぜひ併行して下記を付加することをお勧めします。
- 犯行を継続させないための威嚇撃退方法を併用する。
侵入を侵入検知センサーが検知すると自動的に霧を室内に噴射させる「霧による威嚇撃退」を併用します。
「霧で視界を遮ることにより犯行を継続させない」効果があり、被害を最小に押さえることができます。 - シャッター式ショーケースに商品を入れる。
室内に入ってきてショーケースを割ってショーケース内の宝石など高額商品を持ち帰るのが窃盗団の手口です。シャッター式ショーケースなど破壊に対して対策されているものに商品を入れることが効果的です。 - 威嚇用ベル、サイレンなどその場で音が鳴り響く威嚇用商品を付加する。
侵入を検知するとその場で大音量のベルやサイレンを鳴らすということは、犯行を継続させないために大変効果があります。 - 下見の時に、「防犯対策が採られている店である」ことをPRする。
窃盗団は事前に買い物客を装い、下見をしています。建物の外や店内の見えるところに防犯機器や監視カメラを設置し、「防犯対策が厳重である」ことを見せ、対象から外させることが大切です。 - 従業員に対し、昼間の防犯意識を高めるとともに接客中も気を抜かないよう教育する。
昼休み時間などに数名で訪問し、店員がショーケースを開けるなど接客に集中している隙に別のメンバーが宝石を持ち去るなどの手口もあります。店長は店内全体を把握できるようにするなどし、接客中といえども防犯意識を持つよう教育をしましょう。強盗対策などのマニュアルも必ず作成し、従業員に徹底しましょう。 - 高額商品は金庫に入れて保管する。
「いかに時間をかけさせるか」が防犯のポイントです。窃盗団は短時間で終了させようと考えていますので時間をかけさせることにより、犯行を中断します。