施設別犯罪事情・防犯対策
学校における犯罪と対策
学校における犯罪
子供の安全(防犯)対策平成22年度の学校における犯罪件数:31,886件
全体の刑法犯の2.0%
平成16年の81%。凶悪犯は平成16年の 69%。
(警察庁統計資料より)
平成16年に比べると刑法犯の件数は減っていますが、まだまだ高い水準です。
かけがえのない子供の命を預かる学校でこれほどの刑法犯がいまだに発生しているのです。
平成19年5月には小学校ばかり1000件侵入した泥棒がいました。
●工事作業員になりすまし学校荒らし1000件
工事作業員になりすまして早朝に小学校に侵入する手口で、東京や埼玉、神奈川など首都圏を中心に窃盗を約1000件、被害総額は5200万円に上る。守衛に疑われたときは近くの学校名を挙げ「(別の学校と)行き先を間違えた」とごまかしていた。男は小学校を狙った理由を「生徒の年齢が低く、教員も自分のロッカーに鍵をかけない」と話している。
乗り物盗 | 11,336件(26.1%) |
---|---|
非侵入犯 | 10,940件(25.1%) |
侵入盗 | 6,247件(14.4%) |
粗暴犯 | 1,761件(4.0%) |
知能犯 | 185件(0.4%) |
風俗犯 | 100件(0.2%) |
凶悪犯 | 94件(0.2%) |
その他の刑法犯 | 12,853件(29.5%) |
警察庁に報告があった侵入事案は、平成15年に22件で、殺人未遂1件、傷害・暴行6件を含む18件が事件になっています。平成16年は19件の侵入事案があり、うち12件が事件になっています。
侵入された時の門の施錠に関しては平成15年、16年とも「施錠なし」が約半数を占めています。正門などが侵入口となったケースは平成16年で10件ありました。
増える学校内での身体犯
学校荒しなど「財物犯」と侵入者による児童生徒等に対する「身体犯」とに分かれますが、「身体犯」が増えており、又凶悪な犯罪が与える影響が大きいため、早急に対策が必要です。
●平成11年 京都市立日野小学校 小学2年生が不審者に校庭内で包丁で殺害される。
●平成13年 大阪教育大学付属池田小学校に包丁を持って侵入した男が1.2年生の教室に乱入し、児童8人死亡、教師を含む15人が重軽傷となる。
●平成15年 宇治市立宇治小学校 給食中の小学校1年生の教室に男が侵入し、児童2名が傷害。
●平成17年 寝屋川市中央小学校 17歳の少年が教員1人を殺害、教員2人に傷害を与える。
★犯人供述
「校門が開いていたので中に入った。」
「施錠されていない門扉より侵入した」
「すれ違った時に教員に声をかけられなかった」
「防犯センサー、監視カメラが導入されていたのに、侵入時切られていた」
★職員反省
「パニックになって、隣の教室の先生に声がかけられなかった。」
「防犯センサーが付いているが運用がうまくいかず切っていた」
「パニックになって職員室への連絡ができなかった」
「警察への通報が遅れた」
「犯人を前にしてあわてて防御機器の使い方がわからなかった」
学校への侵入窃盗対策
昼間の侵入者による身体犯以外に、学校にて侵入窃盗が発生しています。
学校には盗まれるものがないと安心している防犯意識の低さ原因となっています。盗まれるのは現金だけではありません。
★犯人供述
「学校は防犯意識が低いため侵入しやすい。」
「工事を装い侵入、声をかけられても学校を間違ったと言い逃れることができる。」
「ノートパソコンや楽器など換金できるものがある。」
「職員室の机の引出しには鍵がかかっていない。」
「窓など無施錠なところが必ず何箇所かある。」
学校の安全対策
1.危機管理の徹底と危機意識の高揚
- 事前・事後の危機管理体制をつくり、全職員が当事者意識を持って取り組むことが大切。
- 安全マニュアルを作成するだけでなく、実際に訓練を行い、さすまたなど防御機器やセキュリティシステム、緊急通報システムを使いこなす練習をする。
- 緊急時の校内連絡方法の徹底と訓練。
- 来校者への目を合わしての声かけの徹底
- 落ち着いた学級づくり。授業中・休み時間の区分がきちんとされていることが大事。
2.安全管理の徹底
- 職員による校内の定期的な巡回。
- 休み時間に教員が校庭に出て子供の様子を把握する。
- 玄関や門扉の厳重な管理を行い、人の出入りを管理する。
- 正門は登下校時間帯以外は施錠し、インターホン、監視カメラなどで確認してから開錠する。
- 登下校時には正門前に先生が立って生徒を笑顔で迎える。
- できる限り正門以外の門扉は施錠しておく。
3.安全教育の充実
- 通学路の「安全マップ」を作成し、高学年児童が低学年児童や地域の人に発表させる。
- 危機回避のための知識や判断力を持たせる。
- 人を傷つけない、ルールを守るといった命と規範重視の徹底。
- 異常事態発生時の避難経路の確認と整然とした避難の練習。
4.見通しの確保
- 校舎内や周囲からの見通しを良くし、敷地内において死角となる場所をなくす。
- 職員室、事務室、校長室などから校庭や校門の見通しを良くする。
- 低学年の教室は特に職員室に近い場所に設け、必ず誰かの目が子供たちのすぐ側にあるようにする。
- 曇りガラスを廃し、見通しの良い透明ガラスに替える。
- 監視カメラを併用し、死角をなくす。
- 植木を剪定し、道路などからの見通しを良くする。
5.防犯監視システムの導入とシステムを生かした運営
- 防犯監視システムは、設置前に防犯設備士、総合防犯設備士と事前に打ち合わせを行い、周辺環境、学校種別、規模、建物配置などを確認し上で、目的、設置場所、運用方法を明らかにして導入を決定する。
- 誰が、どのように防犯監視システムを活用するのか事前に学校内で検討する。
- 侵入を抑止する方法と、侵入など異常発生をすぐに職員室などに連絡する方法、警察など外部にすぐに助けを呼ぶ方法を検討する。
- 防犯監視システムは、システムのスイッチが切られていないか、いたずらされていないかなどを定期的に点検し、点検担当者を決めて実施する。
- システムの使用方法に関して教員は充分に訓練を行う。
- 防犯監視システム導入場所・事例
目的 | 設置場所 | 設置システム | 運用方法 |
---|---|---|---|
侵入防止 と抑制 |
門 | 錠 電気錠 認証装置 |
施錠等の適切な管理 |
安心感の 醸成・異常の 早期発見 |
出入口付近 | 防犯カメラ 赤外線センサー フェンスセンサー |
適切な監視と職員室での一括集中監視 |
来訪者の確認 | 校門 及び 通用門 |
インターホン | 来校者・要件の確認 |
状況の把握 | 建物付近の 死角 |
防犯カメラ | 死角のチェックと自動録画記録 |
異常通報 | 各教室・職員 | 無線型緊急押しボタン サイレン |
異常発生時の職員室、隣の教員への連絡 |
警察への通報 | 職員室 | 110番自動通報装置 | 異常発生時に警察へ自動通報 |
犯人行動抑止 | 各教室 | さすまた など防御機器 |
犯人の行動を押さえ、児童を逃がす |
6.地域・保護者との連携
- 住民による学校周辺のパトロール
- 地域ボランティアによる通学路、通門の見守り
- 携帯電話やパソコンメールを用いての情報網づくり。
- 保護者、来校者への来校時の入退出管理に対する協力要請
IDカードを作成し、首から下げる。ひもで保護者・来校者・職員の区別ができるようにする。
来校時使用の校門を決め、インターホンで確認してから解錠する。
学校への侵入窃盗対策
昼間の侵入者による身体犯以外に、学校にて下記のような犯罪が発生しています。早急に対策が必要です。
- 侵入窃盗によるパソコン盗難。パソコン内の児童の個人情報の漏洩や試験結果、試験問題なども一緒に紛失してしまい、大きな問題になります。
- 駐車場の車上荒らし。車の中のノートパソコン盗難は個人情報漏洩にもつながります。
- 職員室内の現金盗難。修学旅行の費用など現金のある時期を狙っての侵入盗難も発生。
- 薬品棚や保健室の薬品が持ち出されることもあります。その薬物を使っての犯罪の可能性もあります。
- 侵入者による犯罪
- 放火
- 備品へのいたずら
- 備品の持ち出し
- 給食やお茶への異物混入
- 壁など建造物へのいたずら書き
- 窓ガラス割り
- 小動物へのいたずら、殺害
- 教室や校庭などでの喫煙