こんなおかしな泥棒がいる
vol.11 『泥棒道の研究』
泥棒は、私達のスキを狙っています。知らないうちに、そっと、どこからか私達の生活を観察 し、様子をうかがっているのです。彼らの魔の手から身の安全を護るため、逆に彼らの動きを 観察・研究してみたいと思います。
侵入前、泥棒は不安でたまりません。"誰からか見られているのではないか""目的の家に人がいるのではないか"・・・そこで不在確認をします。例えば、呼び鈴を押したあと身を隠して返答をうかがったり、窓に石を当てて反応をみたりといった具合。また、家の外から見た様子も不在確認の大きなポイントになります。
不在とみなされ狙われやすいのは、電気が消えた家、洗濯物が長い間干しっぱなしの家、カーテンが長い間開けたまま、または開めたままの家、つまり様子に動きの無い家といえます。"不在は確認した"としてもまだ不安は残ります。もし、人が居たらいかにして逃げるか、逃げ出た時、人に不信がられない自然なふるまい方はどうするかなどです。又、ケリクチ(逃げ道)をどこにするかなど綿密なる計画を立てねばなりません。
さあ、侵入決断。最も緊張する一瞬。侵入。人がいないとわかれば一安心。はじめにやることは、ドアチェーンをかけたりカギ穴にマッチの軸・紙などを詰め、住人が外から戻ってきた時、中に入れないようにすることです。
次にいよいよ犯行開始。お金・貴金属の置き場所はおおよそ決まっています。タンス・水屋・神 棚・仏壇などなど、プロの中には"金の臭いがする"と言ってお金の置き場に直行するものもいるといいます。
そして犯行後の彼の行動は−−−飲む・打つ・買う、サウナに行く、パチンコをする、踊る、眠るなど、とにかく緊張から解き放たれてリラックスしたいという欲求に駆られます。マージャンや碁などの落ち着いて頭を使う遊びはできません。頭を空っぽにし、犯罪を忘れたい。つまり、犯行後の遊びイコール逃避といえましょう。犯罪者心理を考える時、犯行が終わったあと、犯罪者がいかに陽気になるかによって、逆に犯行中の状態が推測できるのではないでしょうか。
犯罪者はいつのときも例外なく刹那的な恐怖を持っているといいます。
私達が犯罪者心理を知ることから学ばねばならないのは、犯罪者の裏をかくこと、犯罪者以上の緊張感をもち防犯に取りくむことです。
犯罪者の"思う壷"にはまらないように。