こんなおかしな泥棒がいる
vol.19 『なるほど・ザ・ドロボウ』
泥棒といえども、ピンからキリまでおります。 犯罪者は、その犯行が初めてのものであるか否かにより、初犯者と累犯者に分けられます。初犯者は偶発犯又は機会犯が多く、その犯行が計画的ではないことがしばしばです。例えば、店に入って品物を見ているうちに急に欲しくなって盗んだという万引などがその例です。一方、累犯者は職業的常習犯と呼ばれるプロフェッショナルが多いということです。
泥棒の理想は、自分自身が疑われる資科(跡)を全く残さない完全犯罪を目指し、知恵をしぼりテクニックを駆使し、可能性に挑戦します。
泥棒は「目」と「時間」が怖い、といいます。「だれかに見られはしないか」という恐れと、もう一つは「いかに短時間に仕事を終わらせるか」ということです。泥棒はタンスの引き出しを下から開けていきます。上からだと、いちいち閉めていかなければならないからです。
「時間との戦い」が生んだ知恵です。
しかし、このようにスピードを要求される泥棒の仕事にも、時には、根気よく時間をかけねばならない場合もあります。
朝、奥さんが新聞をとりに玄関を出ると、ナベ、ボウル、電気ガマ、そして皿などが、二列にきちんと並んでいました。「子供がイタズラしたのかしら」と疑ったら、これが泥棒の仕業だったというわけです。台所の窓から侵入しようとしたのですが、出窓の棚に食器類が無造作に並べてあるので、泥棒が「床に落として音をたててはまずい」と、一つずつ外に運び出したものだったのです。しかも、逃げる時につまずかないよう、整然と並べていたのです。
完全犯罪のため、ありとあらゆる知恵と工夫を駆使しているのです。私達も負けずに知恵比べをする必要がありそうですね。(但し、私達の場合は、強一い味方、最先端技術のセキュリティシステムがついていることをお忘れなく)