こんなおかしな泥棒がいる
vol.30 『まぬけで、お人良しで、ドジな、ド・ロ・ボ・ウ』
泥棒はみんな憎むべき社会の敵だが、なかにはどうしても憎めない泥棒がいる。
古典落語に登場するこんな泥棒たち・・・。
『夏どろ』
(上方では「打飼=うちかい=盗人」)の主人公は、貧乏な大工の家に泥棒に入ったものの、あまりの貧しさに同情して、逆に金をせびりとられる。
『釜(かま)どろ』
の二人組は、石川五右衛門にあやかって豆腐屋から大釜を盗み出す。ところが、その中で居眠りをしていたじい様が目を覚まし、「ばあさん、水をくれ」と言ったからたまらない。その場に釜をほうり出して逃げてしまう。
『碁どろ』
は泥棒というより囲碁ファンの熱中ぶりをテーマにした落語だが、ここにはザル碁を見るに見かねて「ああ、そこは継ぎの一手だ』などと口を出す碁好きの泥棒が出てくる。
現実には、このての"憎めない泥棒"はめったにいない。でも中には、現実にもドジドロがいるもので、侵入した部屋に寝ていた赤ちゃんに泣かれてあやしていたために捕まった話や、侵入した家の高級酒に酔っ払ってのびてしまった話。農協から米を盗んだまではよかったものの、その頃は俵であったため、隙間から米粒がこぼれ落ち、追跡された話や、コインランドリーで下着を盗んだ下着ドロ、洗濯物に水気が残っていて、持ち逃げる後にはしずくがポタポタ。
まさに、足が付いてしまった。
おあとがよろしいようで。