こんなおかしな泥棒がいる
vol.9 『盗っと、当世気質』
今も昔も、人の道からはずれた商売には変わりのない泥棒稼業。しかし、やはりここにも時代の流れは反映されていた。
和製『クレイマークレイマー』
幼な妻に逃げられたN、2歳10ヶ月の娘を男手ひとつで育てながらの泥棒稼業だった。
妙に律儀な男で、生活費を月20万円と決め、週休2日で計算して1日8500円を目標とし、目標を達成した月は「勤め」を中止して、育児に専念していたという。 また、後にNの部屋から発見されたレポート用紙の束には、毎晩の犯行場所と収入が、2年間にわたり克明にメモされていた。「昼は娘の世話で働きに出られない。夜だけで生活費と養育費を稼ぐのはこれしかなかった」とNは自供しているが。
律儀に貯めます、増やします
所詮アブク銭である泥棒の稼ぎだから、派手にギャンブルや遊びに遣うのがパターンだが、この男は違った。堺市に1050万円の2階建、奈良に2300万円の2階建住宅を即金にて構入、その後、堺市の家は月8万円の家賃で他人に貸していた。預金は、銀行と信用金庫にあわせて4500万円、それを投資信託と定額預金で運用している。これがすべて泥棒稼業の稼ぎだというから驚く。犯行もかなりの知能犯で、その後の財産運用もスゴ腕だったというわけだ。