今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
監視カメラ天国はどこに? イギリスは万引き天国? 年間被害額約1800億円
英国ではこの1年半、小売店での犯罪、特に万引きや店員に対する暴力が急増している。被害額は年間約10億ポンド(約1800億円)に及び、さらに業界はこれとほぼ同額のコストを犯罪対策に費やしている。英国で万引きが増えている背景に何があるのか、ロイターの英国小売市場担当、ジェームズ・デイビー記者が報告する。
ロイター 英国小売市場担当 ジェームズ・デイビー記者
「犯罪は3つのタイプに分けられる。1つ目は、生活に困って万引きをするタイプ。これは目下の物価高騰という危機的状況が要因となっている。
2つ目は長年万引きをして、薬物中毒やアルコール依存症などの習慣を賄っているタイプ。
3つ目は一種の組織犯罪であり、組織的な窃盗や万引きが増加しているのだ。昨年頃からこうした犯罪の増加に拍車をかけているのが、まさに3つ目のタイプだ。
店主たちや業界、とりわけ小規模な店のオーナーの間で不満が高まっている。私たちはサウスロンドンの店舗で話を聞いた。この店は1日に平均10回も万引き被害にあうという」
小売店を営む男性
「ビールを2本盗まれた。そいつは平然と歩いてきて、商品をバッグに入れ、もう1人の男と合流した。これが私たちの直面する日常だ」
デイビー記者
「なぜこのようなことが起きているかというと、150ポンド(約2万7000円)、場合によっては200ポンド(約3万6000円)までの万引きは起訴されないということが、犯罪者の間で知れ渡っているからだ。こうした事案のほとんどで、警察は何もすることがない」
小売店を営む男性
「万引きは合法化されたと思われているようだ。警察の取り締まりがほとんどないことを知っているからだ。警察が万引きを重要視していないことをわかっているのだ。だから自信満々に、堂々と盗みを働き、われわれが立ち向かっても余裕しゃくしゃくの態度だ」
デイビー記者
「警察は、警察官がすべての万引き現場に出動するのは現実的ではないと話している。ただ深刻な暴力の脅威がある場合は、出動するよう最大限努めるとしている。
来年にも総選挙が行われる可能性がある英国で、政治的問題の1つとなっている。これはスナク首相にとって頭の痛い問題だ。なぜなら保守党は、伝統的に法と秩序を重んじる党とみられているからだ。
しかし世論調査によれば、有権者の4分の3が英政府の犯罪対策に不満を示している」
小売店を営む男性
「万引きは、従業員と私自身の精神面に大きな影響をもたらしている。今年に入ってからすでに数人の従業員が辞め、妻は私の店で働くことを嫌がっている。われわれは苦境に立たされている。今は何とかやっているけれど、毎日ここに来るたび、何が起こるのかわからない不安に襲われる」
<10/19(木) 16:33配信 ロイターより>
監視カメラ大国とまで言われたイギリスでなぜ万引き被害が多発しているのでしょう。
要因の一つに、約2万7000円から約3万6000円までの万引きは起訴されないということが、犯罪者の間で知れ渡っており、こうした事案のほとんどで警察の取り締まりがないことも知っているからということです。
つまり、3万円程度の物を盗んでも警察は捜査しないから捕まらない、起訴もされないというのが現実のようです。
被害者や目撃者にその場で現行犯逮捕されない限り盗み放題ということでしょうか。
これは警察の存在意義が問われかねない深刻な状態になる可能性があります。
監視カメラが多数設置されていても、犯人の映像が映っていても、警察が犯人を捕まえてくれないのならカメラの防犯対策の意味がありません。
最初は犯罪件数の増加から犯罪の質、例えば軽犯罪から殺人などの凶悪犯罪へと変化し、件数も増加していくという悪循環に陥る危険性があります。
犯罪が犯罪を呼び、どんどん治安が悪化していき、さらにそのエリアも拡大していき、最終的には広大な無法地帯化することになるでしょう。
対策を講じるなら傷の浅いうちに行うべきです。
警官の増員などは継続的な予算が必要になりますが、中長期的に考えれば雇用問題の改善にもつながりそうです。
また、治安が良くなれば対外的にも良い印象を与えられ、外国人旅行客の増加による消費活動の活性化、外国からの移住者・外国企業の進出による税収アップにつながる可能性があり、メリットも充分見込めます。
簡単に解決できる問題ではありませんが、国を挙げて取り組むべき重要な案件でしょう。
投稿者: 総合防犯設備士 (2024年1月19日 09:14)