今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
「飲む、打つ、買う」 24億円を横領したサラリーマンの転落人生
飲む、打つ、買う--。男の下卑た欲望を、すべて会社のカネで手に入れた男が警視庁に業務上横領容疑で逮捕されました。
自らの欲望を満たすために注ぎ込んだ金額は実に24億円以上。
一介のサラリーマンが送るには華麗すぎる生活を謳歌していました。
可能にしたのは、男が会社に隠し持っていた「魔法の財布」の存在でした。
■愛人にマンション、高級レストランで札束...放蕩三昧のサラリーマン
とある高級中華料理店。
自分よりも数十歳若いであろう女性との会食を済ませたロマンスグレーの初老の男が財布を開けると、そこには1万円札があふれんばかりにひしめいていました。
会計は10万円以上。「現金で」。
男は女性を連れて颯爽(さっそう)と店をあとにしたという。
男(60)は、大手製紙会社(東京都中央区)の子会社の総務部長を務めていました。
後に警視庁捜査2課に業務上横領容疑で逮捕されることを予期してか知らずか、湯水のごとく金を使い続けていました。
「一緒にいた女性は妻ではなく愛人。しかも複数いたうちの1人にすぎない。愛人のひとりにはマンションまで買い与え、連日のように10万円単位の飲食を繰り返していた」と捜査関係者はいう。
他にも、競馬、パチンコなどのギャンブルに大金を投じたすえに手を伸ばしたのは、「資本主義公認のギャンブル」(証券関係者)ともいえる株投資でした。
ぜいたくの限りをつくすこと10年以上。
すべては会社からのカネの横領だと発覚するまで、放蕩三昧は続きました。
警視庁捜査2課が業務上横領容疑で逮捕したのは今月のことです。
逮捕容疑は平成25年2~3月、不正に振り出した小切手を換金し、計約6600万円を着服したとしています。
容疑を認めているという。
■現金がいくらでもザクザク「魔法の財布」 経理書類偽造で発覚逃れ
男が横領を始めたのは、親会社から子会社に出向した12年からおよそ1年後の13年から。
なぜ、巨額の横領は一向に発覚しなかったのか。
男が子会社に出向したのは、経理の腕を見込まれてのことでした。
従業員数十人に過ぎない子会社にとって、数千人規模の親会社から舞い降りた男は雲の上の存在で、仕事の内容に口出しできなかったことは想像に難くありません。
捜査関係者は「経理の処理で間違いを指摘されることはなかったようだ」と話します。
そんな男が趣味のパチンコで借金が膨らむうちに目を付けたのが、子会社が開設していた、2つの口座の存在でした。
口座は銀行側が設定する限度額の範囲内で、いつでも小切手が切れる口座でした。
もともとは円滑な資金繰りを可能にするための口座だったとみられます。
問題は、この口座の管理を男が行っていたことです。
男は会社に対し、この口座を解約したと偽装し、自分で使うことにしました。
要は、巨額の現金の出し入れが自由な口座、いわば「魔法の財布」を手に入れたのです。
一方の口座が限度額に近づけば、もう一方の口座から現金を借りて一方の口座にあてる。そんな自転車操業や、経理書類の数字の操作も駆使しながら、男は巨額の現金をつまんでいったという。
■「競馬でもうけた」万馬券ひけらかし、周囲も信用銀行からの1本の電話で奈落の底に
"優秀"な泥棒は、盗んだ現金を一挙に使わずに、少しずつ使っていくという。
盗んだ犯人がばれていなくても、派手に盗んだ金を使えば羽振りの良い様子にそこから足が付く恐れがあるからです。
だが、男の考えは違い、湯水の如く使いました。
ただ、自分が希代のギャンブラーだという演出も怠りませんでした。
捜査関係者も「男は、趣味の競馬で万馬券を当てているかのように同僚に説明し、金回りがよい様子を信じ込ませていたようだ」と分析します。
話すだけでなく、わざわざ的中した万馬券を愛人に持たせて換金させにいったり、会社では日本競馬協会(JRA)の帯封の付いた現金のお束をひけらかしたりしていたという。
無論、その万馬券を当てるために巨額の現金をつぎ込んでいる素振りも見せずに。
完璧かにみえた男の華麗な日々は、突然、終わりを迎えます。
自由に使っていた口座に関する問い合わせが銀行側から別の社員に届いてしまったのです。
「これは何の口座ですか」「解約したのでは?」。
針のむしろとなった男は会社に犯行を認め、解雇されました。
一度は全てを手に入れ、そのほとんどを手放した男。
妻とは離婚し、逮捕直前に住んでいたのは川崎市内の小さなアパートだったようです。
捜査関係者は、こう嘆息しました。
「ただのサラリーマンでも十分、幸せになれたかもしれないのにね」
<産経新聞 6月13日(月)20時5分配信より>
身近な人で妙に羽振りの良い人がいたら怪しいですね。
もしかすると、この事件のように会社のお金を横領しているのかも・・・。
普通のサラリーマンが給料以上にお金を使っているのは違和感を感じます。
競馬やパチンコで稼いだと言っても、それで生計を立てているプロでない限り、普通は赤字になります。
万馬券など一時的に大金を得る場合はあっても、継続して浪費している人がいれば、そこには何かあるはずです。
もちろん、親の遺産や保険金が入ってきて生活が裕福な人はいるでしょう。
ただ、普通に社会人として暮らしている大多数の人はそうではありません。
東京都知事の話ではなりませんが、けちな人、お金に汚いと感じる人はいます。
人の支出には人一倍厳しいくせに、自分が支出する分は最低限に抑えようとする、場合によっては他の人の分まで精算し、さらには会社に負担させようと考える人がいます。
経費削減、節減と横領は全く違います。
不要な経費や余計な支出を抑え、会社の財務体質を少しでも改善しようとする試みと、社員の自己負担や会社に不要な出費を押し付けるは別です。
経理部長や中小企業のオーナー社長となると、お金の面で大きな権限を持つことになります。
その権限を正しく行使すれば会社はより良くなりますし、一歩間違えてその権限を悪用する人が出てきたらそれは犯罪、横領です。
社員がそこのことに気付いてもオーナー社長の場合、それを咎めることは勇気が要ります。
自分の出世が遠ざかったり、下手をすればクビになる可能性もありますし、事を荒立てる(警察や税務署を巻き込むと)と会社自体が大きなダメージ(社会的な制裁等)を負うことにつながります。
平気な顔をして横領まがいのことをする人がいるという話を聞いたことがありますが、周囲には気づかれてないと行動はどんどんエスカレートするようです。
しかし、不自然な支出が継続すれば、多くの人が気付きますし、その人に対する不信感を持つのは自然の流れです。
本人は感覚が麻痺してくるのか、頻度・金額はどんどん上がっていき、自分ではどうしようもなくなるのです。
これも病気の一つと言えるのかもしれません。
誰にも気付かれていない、これは本人がそう思い込んでいるだけで周囲の人は大抵のことは敏感に反応します。
皆、気付いていますよと本人にさりげなく伝えるうまい手段があると良いのですが・・・。
投稿者: 総合防犯設備士 (2016年6月29日 17:30)