今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
農作物盗難対策 泥棒が罠でケガをしたら罪に問われる?
秋は農作物の収穫が盛んな季節ですが毎年、農作物が盗まれる被害が後を絶ちません。
警察庁によると、農作物窃盗の認知件数は、年間約3000件(2017年)に上ります。
農家の中には、手塩にかけて育てた農作物を泥棒から守ろうと、田畑の周囲にわなや電気柵を仕掛ける人もいますが、わなや柵で侵入者がけがをしたり、死んでしまったりした場合、農家は罪に問われるのでしょうか。
芝綜合法律事務所の弁護士に聞きました。
「正当防衛」の範囲を超えるかどうか
Q.田畑にわななどを仕掛けて農作物泥棒がけがをしたり、死んでしまったりした場合、農家が罪に問われる可能性はありますか。また、相手に賠償を請求された場合、応じなければいけないのでしょうか。
弁護士「刑法上の『正当防衛』(刑法36条1項)と認められる範囲を超えれば犯罪になるでしょう。ただ、『防衛の程度を超えた行為』である『過剰防衛』として刑の減軽や免除を受ける場合があります(同2項)。また、民法上も、『正当防衛』(民法720条1項)と認められる範囲を超えれば、損害賠償責任を免れないでしょう」
Q.けが、もしくは死亡した窃盗犯は罪に問われるのでしょうか。
弁護士「窃盗犯が、わなにより死傷した場合であっても、また、窃盗罪(刑法235条、10年以下の懲役または50万円以下の罰金)が未遂であっても既遂であっても、刑事上の責任を負うことになります。窃盗犯が死亡している場合は『死後送検』されるでしょう」
Q.田畑に侵入した泥棒を見つけて殴った場合、罪に問われますか。
弁護士「泥棒行為をさせないように手で制止した場合など、『防衛の程度』を超えていなければ、正当防衛と認められ、罪には問われないでしょう。正当防衛と認められるためには『必要やむを得ずになされた行為』、つまり『反撃行為は侵害行為の強さに応じた相当なもの』である必要があります(1969年12月4日最高裁判決)。
例えば、泥棒を殴る行為の場合、泥棒行為を制止する目的であり、けがをさせない程度であれば『防衛の程度』を超えず、『正当防衛』として罪に問われませんが、『防衛の程度』を超えて必要以上に殴りつけてけがをさせたり、刃物で傷を負わせたりすれば、一般的に『防衛の程度』を超えるとみなされるでしょう」
Q.毎年、農作物泥棒に悩む農家が一定数います。泥棒被害、また自身が泥棒にけがをさせることを防ぐためには、どのような対策が必要でしょうか。
弁護士「自治体による定期的なパトロール、ダミーの防犯用監視カメラの設置などが考えられますが、あまり効果がないようです。そこで、センサーが不審者を感知すると大きなサイレンやブザーが鳴る機械を設置し、警報が警備会社や自宅に届くようなシステムを利用することが検討に値すると思います。泥棒は音と光を嫌うからです」
Q.農作物泥棒をけが、または死なせてしまったことに関する事例、判例はありますか。
弁護士「調べてみましたが、特に見つかりませんでした」
オトナンサー編集部
<9/12(木) 6:10配信オトナンサーより>
農作物の盗難対策として、罠や電気柵を設置し、そのことによって侵入者、泥棒がケガをしたり、死亡した場合、設置した側の農家に責任が問われるか?という記事です。
農作物の盗難対策に限らず、厳重な防犯対策を講じた要塞のようなものを築けば、泥棒などの侵入者をほぼ防ぐことができるような気がします。
漫画や映画の世界になってしまうかもしれませんが、侵入者に対してレーザーのようなもので攻撃する、銃を乱射するなど、過激な意見かもしれませんが、侵入者にとっても自分の命をかけてまで侵入する危険は冒さないでしょう。
よほどの大金や高価な金品が保管されていることが確実な場合は別でしょうけど。
ただ、このような過激な侵入者対策は、過剰防衛として認められないでしょう。
国によっては違うかもしれませんが、先進国では認められません。
この記事においても正当防衛がキーワードになっています。
その対策によって相手をケガさせることが正当防衛の範囲内かどうかということです。
個人的にはこの正当防衛の範囲をより広げるべきと考えます。
被害者にとっては、加害者(犯罪者)に侵入され、金品を奪われ、建物を傷つけられる正当な理由は決して存在しません。
正当な理由もなく傷つけられるのですから、その報復ではなく、被害を防ぐための自衛の防衛手段は認められるべきではないでしょうか。
投稿者: 総合防犯設備士 (2019年9月27日 16:16)