今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
社員が退職したら、会社側でやるべきこと
宮城県大崎市は11日夜、納税課内のダイヤル式金庫で保管していた公金102万円を紛失したと発表した。
業務上横領や窃盗の疑いがあるとして、市は古川署に12日、被害届を提出した。
市によると、なくなったのは固定資産税や軽自動車税として納められるなどした現金102万円。
職員が最後に確認したのは8日夕で、11日朝に紛失に気づいた。金庫は旧古川市が1962年に購入。
24人いる納税課の職員のうち、開ける番号をいま知っているのは6人だが、番号は60年間、一度もかえていなかった。
金庫には他に小銭や通帳なども入っていたが、残されていたという。
伊藤康志市長は12日の定例記者会見で、「市民の信頼を著しく失墜させ、心から深くおわび申し上げる」と述べた。
<朝日新聞デジタル 7/12(火) 17:54配信より>
社員が退職した場合、雇用していた会社側では、保険、年金、税金等の手続きだけでなく、やらなければならないこと、やった方が良いと思うことがいくつかあります。
- 会社からの貸与品(社員証、社章、制服、名刺、携帯電話、パソコン、マニュアル)の返却
- 鍵や扉の開錠方法、入退システムの暗証番号の変更
- 社内システムのパスワード変更
- メールアドレスの削除、社内メーリングリストからの削除
- 社内ルールの変更(パスワードの規則性など)
- 金庫の開錠番号の変更(退職者が経理担当者の場合)
- 銀行のキャッシュカードの暗証番号の変更(退職者が経理担当者の場合)
- インターネットやホームページなどの管理サイトへのアクセス方法の変更(退職者がネットワーク管理者の場合)
- ホームページやカタログに掲載している写真の変更(退職者が代表者などで載っている場合)
物理的な変更だけでなく、設定上の変更が必要な場合も考えられます。
例えば、テレワークで自宅のパソコンを使用し、遠隔から会社のパソコンに接続して業務を行っていた場合、退職後はそれができないようにしなければなりません。
他にも外出先や出張先でメールを確認できるように、個人の携帯電話やiPad等に転送していた場合、それらの設定変更や解除しなければなりません。
そのままにしていた場合、退職後も誤って情報を送り続けることになる可能性があります。
社員だからこそ知り得る情報に関しても、可能な限り変更する必要があります。
しかし、思いつくだけでもこれだけの内容があり、社員一人がやめるたびに全てを変更していたら、残った社員は最新のパスワードが何かを把握するだけでも大変です。
これだけは最低でも変更しなければならない内容を決めて、変えていく方が効率的でしょう。
また、退社時に知り得た情報を外部に漏らしてはならないという秘密保持契約を個別に締結したり、就業規則に盛り込んだり、情報漏洩は罪であることを社内で認識させる必要があります。
そして、退職する社員がどの程度の情報を知っていたかを、社内(直属の上司など)で把握していることも重要になります。
社員が何を、どこまで知っていたかすら分からないのであれば、情報漏洩のための具体的な対策がとれなくなります。
そのような事態は避けなければなりません。
退職した社員が悪用する可能性を考えるだけでなく、もし顧客情報などが流出した際、会社として管理上・運用上の責任を問われる可能性もあるため、何らかの対策を講じていることを外部に示す必要があるかもしれません。
投稿者: 総合防犯設備士 (2022年8月 5日 09:25)