今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
盗んだ金で温泉めぐり。老人窃盗団。
東北から関西地方の各地で空き巣や事務所荒らしを繰り返していたとして、埼玉県警と警視庁などが、60〜70歳の男3人を盗みなどの疑いで逮捕していたことが2日、わかりました。
3人は今年6月までの3年間に少なくとも100件(被害総額約1000万円)の犯行を繰り返したと自供しており、盗んだ金で温泉巡りをしていたということです。
3人はいずれも住所不定、無職の60歳、65歳、70歳。なんと平均年齢65歳。
05年11月から今年6月にかけて、東京・山谷の簡易宿泊所を拠点にして、全国14都府県で盗みを繰り返していました。
主に店舗兼住宅を狙ったということです。被害は約100件、約1600万円に上ります。
移動にはレンタカーを使っていた。
犯行は計画的で、「運転手役」「見張り役」「実行犯役」などの役割分担もなされていました。
3人は2005年11月25日、甲府市善光寺の事務所に侵入して現金約12万5000円を盗み、今年6月21日には、埼玉県越生町の民家に忍び込んで現金約22万円を盗みました。
3人は数年前、刑務所で知り合って意気投合し、出所後に連絡を取り合って“窃盗団”を組織。
犯行後は盗んだ金で近くの温泉につかっています。
1回の“旅行”に4日間を要し、最初の2日間を犯行、残り2日間を観光にあてていました。観光地を選ぶ際には、3人で「あの場所が忘れられない」などと意見を出し合い、綿密な計画を練っていたというからあきれますね。
“窃盗行脚”では、中尊寺金色堂(岩手県平泉町)や石和温泉(山梨県笛吹市)、松本城(長野県松本市)、奈良公園(奈良市)などの観光地や温泉を訪れていました。
今回の老人窃盗団は、刑務所で出会っていますので「再犯」ではないかと思われます。
温泉でのんびりした後、3人の老後は寂しく厳しいものになることでしょう。
日本経済新聞の11月29日ちょっと気になる記事を見つけました。
高齢者の万引きが急増しているという記事で、警察庁によると2006年の全国の万引き検挙人数は十万七千人のうち、2万五千人が65歳以上。総数に占める割合は23%と、この10年でほぼ2.5倍となっています。
万引きというと少年犯罪を思い浮かべますが、高齢者が1/4を占めるとはちょっと想像できませんでした。
なぜ、高齢者が万引きをするのでしょうか?
北海道警察犯罪脆弱者対策研究委員会が実施した調査では、「万引きをした理由」1位は「孤独」27.8%となっています。
その他「失うものがない」「生き甲斐がない」「年齢には関係ない」「家族に存在を訴える」「介護疲れ」といった理由が挙げられていました。
お金に困っている様子のない高齢者の犯行が増えているようで、「人と人との連携やコミュニティが弱まり、社会から孤立することで社会規範が薄れている」との指摘もあります。
商店街などで会話をしながら物を購入していた時代を生きてきたお年寄り。
コンビニやスーパーマーケットでは誰とも会話もせず、かごに商品だけを入れてレジに向かいます。
家でも、どこでも会話をほとんどすることがない生活・・・そうした孤立が犯罪に走らせているとしたら非常に寂しく悲しいことです。
「店員がおもてなしの心で普段から客に声をかければ、客に《おらが店》という意識が出て万引きが減るはず」とその記事の中で万引き対策専門会社の方のコメントが紹介されていました。
これから高齢化社会がますます進む中で、あらたな課題になっていくのではないかと考えます。
投稿者: スタッフ (2007年12月 3日 11:11)