今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
文化財防火対策 市町村2割が無策。放火や火災から文化財を守れ。
韓国の国宝第1号「南大門」が火災で焼失した映像は、まだ目に焼き付いています。
歴史的建造物の焼失といえば、少し昔になりますが、まず、昭和25年7月の鹿苑寺金閣(京都市)放火事件。
火の手は国宝だった舎利殿(金閣)を包み、室町幕府3代将軍足利義満の木像なども焼失。
寺の青年僧が放火で逮捕されたことも衝撃でした。
平成6年8月に愛知県御津町(現・豊川市)の大恩寺が全焼。国の重要文化財に指定されていた念仏堂などが全焼しましたが、原因は子供の花火遊びともいわれています。
最近では平成12年、京都大原の寂光院の放火も記憶に残っています。
まだ犯人は捕まっていません。
文化庁によると、昭和25年の文化財保護法制定後、火災により焼失した歴史的建造物は11件15棟。一部焼失も合わせると76件84棟にのぼります。
仏像などの美術品の焼失や破損も27点となるなど、貴重な文化財が日本でも多く失われているのです。
日本では、文化財に指定された建造物は消防法に基づき火災報知機や消火器の設置が義務づけられる上、文化庁が初期消火活動に有効な屋内消火栓の設置などを指導することになります。
広大な面積を有する寺院などは防火設備の設置にも多額の資金が必要ですがが、国は所有者の経済状態などを考慮し最大で85%まで補助。
美術品にも同様の補助制度があるなど、国民の"共有財産"としての保護の仕組みは一定レベルあります。
ソウルの南大門の放火被害は、17日で1週間が経過したことになります。
一度失ったら二度とは手に入れることができない文化財。
"対岸の火事"では済まされないはずですが、日本でも「文化財防火デー」に2割の市町村が何もやっていないことが文化庁の調査で判明するなど、国内の防火体制も決して万全とはいえません。
又、先日のソウルの南大門のように、古い木造建築物が多い文化財は火の回りも速く、火災を感知して消防自動車が到着して消火活動をしてもすでにかなりの損害が発生してしまうこととなります。
まずは不審者を敷地内に入れないこと。そのためには「外周警備」が必要です。
又、火災は火災が発生して温度が上がったのを検知するのではなく、炎の段階ですぐに検知し、初期対応することが大切です。「炎センサー」は10メートル先の7cmの炎を検知しますので、放火はもちろんのこと、禁煙場所での喫煙者もすぐに知ることができます。
http://www.securityhouse.net/location/temple/fire/
平成12年に放火で本堂が全焼した京都・大原の寂光院は、せっかく設置してあった侵入者感知センサーの電源を切っていました。センサーが働いていれば放火犯を感知した可能性は高いため、防犯・防災対策はいつ何があってもすぐに対応できるように万全の体制を整えておくことが重要です。
人的なミスは許されません。
私達は大切な文化財を次の世代に引き継いでいく義務があるのです。
投稿者: スタッフ (2008年2月22日 11:32)