今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
茨木、岡山、福岡の無差別通り魔殺人の裏側
福岡県で4月14日福岡市早良区西新のアパート通路で78歳の女性が刺し殺された事件で、犯人の22歳男が逮捕されました。男は別に3月25日(岡山の事件発生日)に女性を刺傷した事件でも関与をほのめかしています。
茨城の通り魔事件、岡山の線路突き落とし事件に続き、今度の福岡の事件の3事件とも容疑者は10〜20代の若者。いずれも無職で、面識がない被害者を襲っていることが共通点として浮かび上がっています。
茨城県土浦市でサバイバルナイフで8人を死傷させた男(27)は、「複数殺せば死刑になれると思った。誰でもよかった」と供述。JR岡山駅で男性を線路に突き落として殺害した少年(18)も「誰でもよかった。一番前の人の背中を押した」と話しています。
福岡の犯人は県警の調べに「金に困った」と話していますが、他の2人と同様に、たまたま遭遇した被害者を狙った可能性が高いようです。
面識のない人を突然襲う若者の凶行が連鎖するかのように相次いでいます。
この茨木と岡山の2つの通り魔事件犯人には共通点が指摘されています。
1)おとなしい性格で、学生時代は目立たない存在。学生時代はほとんど欠席せず真面目に出席。
2)人付き合いが下手で、友人がいない。
3)大学進学を諸事情であきらめた。
4)職探しがうまく進まないため閉塞感を持っていた。
5)ゲームが好き。(人をキャラクターと想像し人を傷つけることへの抵抗感が薄くなっている?)
6)「破滅願望」を持っている。「死刑になりたい」「刑務所に行きたい」
茨木の犯人は、スーツにニット帽という異様な服装で、奇声を上げて刃渡り30センチの文化包丁と33センチのサバイバルナイフを振り回して8人の人を殺傷しました。
岡山の少年はそのニュースを犯罪を起こした前日、家族で食事中に見ています。父親から「こんなことしたらあかんで」と言われ、
普段通り「うん」と答えながら、翌日朝には家を出ていました。
人を殺害するための包丁を購入するなど、茨木の事件を模倣しているようにも思えます。
少年による無差別殺人は近年増えています。
●平成12年5月、愛知県豊川市の主婦が刺殺された事件。逮捕当時、17歳の少年は「人を殺す経験をしようと思ってやった」「経験することが必要だった」と話した。
●17年4月、大阪府東大阪市では無職の少年が公園で遊んでいた当時4歳の男児の頭をハンマーで殴り、重傷を負わせたとして逮捕された。少年も「老人以外なら誰でもいい」と話した。
●18年4月和歌山県高野町で写真店経営の男性を殺害したとして逮捕された当時高校2年の少年。、「相手は誰でもよかった」。
中央大法学部の藤本哲也教授(犯罪学)は「社会が閉塞(へいそく)状態だと、不満を爆発させるような事件が起きる。
少年など社会の弱者がストレスに一番反応しやすく、茨城県土浦市の8人殺傷事件に触発された可能性もある」と指摘しているとの話も産経ニュースに記載されていました。
「何らかの外的な要因がきっかけで、爆発する可能性のある若い人たちは、潜在的に多い」
静岡大の間庭充幸名誉教授(犯罪社会学)も連鎖的な凶行を心配しています。
進学断念、職探し難航...共通する「閉塞感」が犯罪を生んだ。
そういう見方もあると思いますがそれだけでしょうか。
茨木の男は真面目な反面「キレやすい」という面も指摘されています。
岡山の少年はキレやすい面はなかった優等生タイプでしたが、小中学校時代にいじめに遭っていたとの話もあり、心の中で何らかの鬱憤が積もっていたのでしょうか?
こういう事件が続くと、「子供や自分自身を犯行から守りたい」という気持ちと、「自分の子供が犯罪を犯さないように守りたい」という気持ちを多くの方が持たれるのではないかと思います。
自分の身を自分で守る、子供の身を守るという方法はこの数年間でずいぶん進んできたと思います。
学校にも電気錠や赤外線センサー、防犯カメラ、非常用押しボタンなどが設置され、子供の居場所も両親がわかるようになってきています。
http://www.securityhouse.net/location/school/report/
ところが、自分の子供が犯行を起こさないようにするための方策は進むどころか後退しているのではないかと思います。
学校裏サイトのうち5割に「キモイ」「うざい」など個人を中傷する言葉が含まれていることが15日、文部科学省の委託調査(最終報告)で分かりました。特定の個人を中傷するいじめにつながっています。
そうしたいじめに対しても、学校側、親側の対応はいつも後手後手になっています。
自殺や自殺未遂が起きてからいじめが遭ったことを認めても意味がありません。
将来に夢をもてない子供達。自分の気持ちをきちんと話せない子供達。会話ができず、メールが中心という子供も多いようです。
家に帰っても両親はおらず、一人で食事をする、買い食いをする子供も増えています。
きちんと子供のことを見ていて、変化が感じ取れる親は少ないのではないでしょうか。
親との関係、友人との関係。おとなしい、問題を起こしていない子供でも心の中では多くの問題を抱えています。
今一歩踏み出してそうした部分も含めて改善していかないと、少年によるキレル事件は連鎖で今後も発生するものと危惧しています。
投稿者: スタッフ (2008年4月16日 09:30)