今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
「出し子」
「出し子」って何かご存知ですか?
「出し子」とは、振り込め詐欺グループで現金引き出し役を担う人をいいます。
この振り込め詐欺は、「オレオレ」と電話をする人間ばかりが全面に出ているようですが、分業化が進んでおり、その他登場人物(弁護士役、警察官役など、相手の職業や手口の内容で登場人物が変わる)など「だまし役」、現金引き出し役、指定されたATMに出し子を連れていく運転手兼口座管理役、使用する携帯電話の契約者、振込み先銀行口座開設者など「道具屋」・・といろいろな役に分かれています。インターネットの裏サイトの求人情報を見て、軽い気持ちでグループの一員となる未成年も多いということです。
29日付けのニュースをご紹介します。
振り込め詐欺グループで現金引き出し役を担う「出し子」など3人が逮捕・起訴された事件で、南甲府署は28日、3被告を計10件の窃盗容疑で甲府地検に送検したと発表した。首謀者は分からないままで、末端メンバーが捕まっても全容が分からぬよう、メンバー同士の連携を絶つ犯行グループの巧妙さが捜査の行く手を阻んでいる形だ。
3人は、福岡市の無職(33)=窃盗罪で公判中▽埼玉県狭山市、配管工(24)=同▽同、塗装工(23)=同罪で起訴=の各被告。
調べによると、無職男はコンビニなどの現金自動受払機(ATM)などから現金を引き出す「出し子」役。配管工と塗装工の両被告は指定されたATMに出し子を連れていく運転手兼口座管理役だった.無職男は一緒に行動する2名の両被告の名前を知らなかった。また、3人は顔も名前も知らない首謀者を「X」と呼び、その指示で行動していた。無職男は福岡市の街頭で「スカウトされた」と供述している。
3人は「ほとんど仕事感覚」(捜査幹部)で犯罪に加担していたという。「仕事」は主に月〜金曜日の午前9時半〜午後3時で、3人には毎朝、あらかじめ渡された携帯電話にXから指示があった。バイク便で届くキャッシュカードや通帳を使い、まず配管工と塗装工が指定されたATMで現金を出し入れし、口座が凍結されていないかを確認、Xに報告する。Xはその後、だました相手に現金を振り込ませ、3人に電話して現金を引き出させていた。
引き出した現金のうち10%を「出し子」、5%を運転手兼口座管理役が受け取り、残りは定形郵便サービス「エクスパック」で広島県の民間私書箱に郵送。現金はそこから東京都の民間私書箱に転送されたが、この時の差出人は架空の人物だった。この私書箱にはバイク便が現金を取りに来たが、誰がバイク便を依頼したのかは解明できていない。
3被告は今年5〜7月に千葉県内で発生した10件の還付金詐欺事件(被害総額1044万円)で、銀行口座に振り込ませた現金のうち計約728万円を山梨、栃木、茨城県内などのATMから引き出したとして窃盗容疑で同署が送検した
10月29日13時3分配信 毎日新聞
「X」なんて呼んで、仕事のやり取りがスパイ映画か必殺仕事人。
アシがつかないように仲間の名前も居場所も教えない。お互いに誰だか知らないまま犯行の一部を担わせる。誰かが捕まっても絶対に自分の情報には行き着かない。
非常によく考えられています。
先日逮捕された11人のグループでは、出し子はジャンケンで決めていました。
振り込め詐欺の被害は中々減っていません。
携帯電話からIP電話に変えたり、振込みから郵便速達小包「エクスパック」に変えたりといったように進化していっています。
●IP電話は、音声を「インターネット・プロトコル」と呼ばれる技術でデジタルデータに変換し、インターネットなどを通じて相手の電話器に送るサービス。以前は「050」から始まる番号のみだったが、一定の条件を満たした場合、固定電話と同様の番号が割り当てられるようになった。
「相手側に表示される電話番号が携帯より固定の方が相手を信用させやすいと思った」とある逮捕者は話しているという。
●新潟県警に逮捕された東京都内の振り込め詐欺グループが、携帯電話より相手に信用されるとして、「03」で始まる番号を通知できるIP電話で被害者に接触していたことが、捜査関係者の話でわかった。捜査関係者によると、グループがIP電話を使うようになったのは今年8月から。拠点が割り出されないように都内の仲介業者のコンピューターを通じて、NTTの回線につながるようにした。
この電話はインターネットが通じる場所であればどこからでもかけることができる。アジトを移すのが容易なうえ、NTTと契約をしているのが仲介業者であるため、「被害者にかけられた番号からグループを割り出すのは難しい」という。
振り込め詐欺を巡っては、警察庁が7月、架空名義の携帯電話や銀行口座を供給する「道具屋」の摘発強化などを全国の警察本部に指示。契約時に提示される免許証について、警察が携帯電話会社からの照会を受け付ける準備を始めるなど、不正携帯の封じ込めを進めています。
12月1日からは、レンタル携帯の本人確認を厳格化した改正携帯電話不正利用防止法も施行されます。銀行に警察官を巡回させたり、銀行員が振り込み時に声をかけて確認したり、防止の為の色々な対策がとられつつあります。
「振り込む前に相談 」これが基本であることを忘れず「自分は絶対に騙されない」と過信しないようにしましよう。
投稿者: スタッフ (2008年10月29日 13:50)