今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
「誰でも良かった」
今年1年、刑法犯、窃盗犯の認知件数は前年より減っているにも係わらず、どんどん犯罪が「凶悪化」していると感じている方も多いと思います。
その象徴的な犯罪というのが「誰でも良かった」という無差別殺傷事件でした。
茨城県土浦市で3月、8人が殺傷された事件
6月の東京・秋葉原で17人が殺傷された事件
こうした「無差別殺傷事件」が相次ぎ、何の罪もない人々が次々に襲われた1年でした。
1〜11月の通り魔事件の死傷者数は42人で過去最悪となっています(警察庁まとめ)。
一方、11月には「逆恨み」的な動機から元厚生次官を狙った連続殺傷事件も起きています。
産経新聞は12月29日の記事の中で「 凄惨(せいさん)な事件から浮かび上がるキーワードは“理不尽”」と分析しています夫々の犯罪者の供述やメールの書き込みをピックアップすると、
「母に口答えする妹に腹が立った。妹を殺すつもりだったが、家にいなかったのでやめた。駅に着いて7、8人殺そうと思った。悪いとは思っていない」「誰でも良かった」
「生きていることがつまらなくなった」「定職にも就かず、高校を卒業したころから人を殺して死にたいと思うようになった。複数殺せば死刑になれると思った」
「高校出てから8年、負けっぱなしの人生 悪いのは俺なんだね」「土浦の何人か刺した奴を思い出した」「私、6月でクビだそうです。300人規模のリストラだそうです やっぱり私は要らない人です」
経済低迷や雇用不安といった社会情勢も秋葉原の加藤被告の社会への不満を増大させていった。
「周囲からの孤立感を深め、携帯サイトへの書き込みでも無視された不満が怒りへと変わった」 捜査幹部はこれが、秋葉原事件の動機とみています。
元厚生次官ら連続殺傷事件の場合はもっと理由が理不尽になります。
「34年前に保健所で殺された愛犬のあだ討ち」
犯人が供述した動機は「逆恨み」でした。
孤立感や人生へのあきらめという身勝手で理不尽な理由で命をある日突然絶たれた人が42人。
警察幹部は「経済状況の悪化により同種の事件の増加も懸念される」と話していると記載されていますが、実際にここ数ヶ月「派遣切り」などがニュースに出始めてから、強盗は確実に増えています。
強盗、放火、窃盗・・そして無差別殺傷。
どんどん犯罪そのものがエスカレートし、凶悪化している日本。
そうした犯罪からいかに身を守るか・・ということを来年度はもう一度真剣に考え、皆様にお伝えしていきたいと考えています。
犯罪社会学者の小宮信夫氏は、「犯人目線に立て! 危険予測のノウハウ」(PHP研究所)の中で、
「犯罪の被害に遭わないためには最も必要なことは「人」ではなく、「場所」に注意することです。なぜなら、「危ない人」は見ただけでは分かりませんが、「危ない場所」は見ただけで分かるからです。
「危ない場所」は、だれもが入りやすく、だれからも見えにくい場所です。ほとんどの犯罪は、この入りやすく見えにくい場所」で起きています。としています。
犯罪者の目線に立って、犯罪が発生しやすい環境を知り、犯罪に巻き込まれないようにする。それが小宮氏の考えですが、まさにセキュリティハウスの考え方「泥棒の心理や手口を研修し、泥棒が好きな環境を知り、泥棒の嫌いな環境にすることで窃盗被害対象から外させる」という考えと同じです。
来年度はこの「犯罪が発生しやすい環境」を皆様にご紹介していきたいと思います。
今年1年、この防犯泥棒大百科をお読みいただき誠にありがとうございました。
来る年2009年が少しでも明るい、犯罪の少ない年になりますよう。
良いお年をお迎え下さい。
投稿者: スタッフ (2008年12月29日 11:03)
