今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
ひったくり急増。犯罪者が振り込め詐欺からひったくりに変更か?
「振り込め詐欺」から「ひったくり」へ・・。ちょっと気になる傾向が出ています。
東京都内で今年、ひったくり被害が急増して被害件数は600件を超え、前年同期に比べて約36%増となっていることが26日、警視庁のまとめで分かった。
不況から経済的に追いつめられ、特殊な道具や技術を必要としないひったくりの増加につながっているとみられるが、「振り込め詐欺が摘発強化されたことで、犯罪者がひったくりに流れている」と分析する専門家もいる。世界的な経済危機の出口が見えない状況下で、さらに続発する可能性もあり、同庁で警戒を強めている。
■敷居の低さ
警視庁捜査3課によると、ひったくり被害は24日現在で672件となり、前年同期に比べて180件、約36%増となった。昨年12月から増加傾向にあるという。このうち9件は被害者が転倒して負傷したため、強盗致傷事件となっている。全体の約7割ではバイクが犯行に使われていた。
一方でほかの窃盗被害は空き巣などの侵入窃盗が前年同期比305件減の2628件▽車上狙いが331件減の1758件▽自動車盗が72件減の136件−と減少している。
捜査幹部は「ほかの窃盗は工具や技術、経験が必要になるが、ひったくりはバイクや自転車があればできる」と指摘し、ひったくりの“敷居の低さ”を説明する。
立正大学の小宮信夫教授(犯罪社会学)は「失業者が増えるとひったくりも増えるが、振り込め詐欺の摘発強化も背景にあるのではないか」との見方を示す。
警視庁は振り込め詐欺対策として、だまし取った金を現金自動預払機(ATM)から引き出す「出し子」の顔写真をホームページで公開、ATM周辺に写真を掲示するなどして摘発に力を入れている。
同庁によると、振り込め詐欺撲滅月間の2月、都内の振り込め詐欺被害は72件、約1億4000万円となり、統計を取り始めた平成17年1月以降、過去最少だった。
小宮教授は「振り込め詐欺の逮捕のリスクが高まった。犯罪者はバイクや自転車で追い抜きざまに荷物を盗むひったくりの方が、リスクが低く、手間もかからないと感じ、手を出すようになったのではないか」と分析する。
■狙いは弱者
同庁は24日現在でひったくり事件の容疑者37人を逮捕しているが、供述から、「犯行後に追いつかれない」「抵抗されない」という理由から女性や高齢者といった弱者を狙っていることが浮き彫りになった。
同課によると、バイクを使って自転車の前かごからバッグをひったくったとして、今月4日に窃盗容疑で逮捕された男は体重125キロの巨漢だったが、「自分が乗ったバイクはスピードが遅くなってしまうので、自転車をこぐ力が強い男性は狙わなかった」と供述している。
同課はひったくり被害を防ぐ手段として、歩くときは建物や壁側の方でバッグを持つ▽自転車のかごに荷物を入れる際には、かごにネットをつける▽背後から自転車やバイクの音が聞こえたら振り返る−の3点を挙げている。
小宮教授は「ひったくり犯は幹線道路の近くにあるガードレールのない道や、高い塀が続く道など『入りやすく見えにくい場所』で犯行に及ぶ。このような場所では特に注意が必要だ。ひったくり犯はリスクを嫌がるため、危険な道路でも通行人が警戒心をアピールしていればあきらめる」とアドバイスしている。
(3月27日産経新聞より引用)
小宮教授の「犯罪機会論」は「防犯環境設計」の考え方にもなっています。
偶然ですが、セキュリティハウスの「予防(抑止)」を強化する自主機械警備システムの考え方とも非常によく似ています。
犯罪者に犯罪をしにくい環境を作ることで犯罪対象から外させる。
そのために建物外に「抑止機器」を設置し、犯罪者に精神的な抑止を行う。
建物内に入られる前に音と光、人の目という「侵入防止4原則」を活用して威嚇撃退する。
それがセキュリティハウスの自主機械警備システムの考え方です。
ひったくりに関しては、
ひったくりに対する防犯対策を参照下さい。
投稿者: スタッフ (2009年3月27日 11:01)