今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
文化財・寺社への放火相次ぐ
全国で文化財や寺社の火災・放火が多発しています。
●白沙村荘茶室を全焼 左京・橋本関雪の旧宅。出火時は無人
31日午前1時ごろ、京都市左京区浄土寺石橋町の白沙村荘・橋本関雪記念館から出火、木造平屋の茶室(約120平方メートル)を全焼し、約20分後に消した。 茶室は、関雪が1932年ごろ妻のために造った「倚翠亭」や「憩寂庵」の2つで、出火当時茶室はいずれも無人だったという。
(3月31日 京都新聞より抜粋)
●小田原市江之浦の「赤沢観音堂」から出火・放火の疑い。仏像4体も焼ける。
29日午前10時50分ごろ、小田原市江之浦の「赤沢観音堂」から出火、木造平屋約50平方メートルを全焼し、内部にあった十一面観音像など仏像4体を焼いた。約6時間後、住所不定、無職の男(57)がJR真鶴駅前の交番に「火をつけた」と自首したため、小田原署は非現住建造物等放火の疑いで緊急逮捕した。出火約1時間前、参拝者が施錠されたはずの堂内で50〜60歳代の不審な男を目撃。同署は特徴が似ていることからこの男とみており、動機などを追及している。
(3月30日 毎日新聞より抜粋)
●国宝火災:奈良の出雲建雄神社拝殿に放火か 格子戸焦げる
12日午前4時半ごろ、奈良県天理市布留(ふる)町にある石上(いそのかみ)神宮の摂社・出雲(いづも)建雄(たけお)神社拝殿(国宝)から出火。火災報知機で気付いた神社当直の男性権祢宜(ごんねぎ)(32)が消火器で消し止めたが、格子戸など7カ所が焼け焦げた。権祢宜は「油のにおいがした」と話しているといい、県警天理署は放火の疑いが強いとみて捜査している。
山辺広域行政事務組合消防本部によると、拝殿の外周を囲むように7カ所に油がまかれていた。拝殿東側にある別の社付近で、油の入った瓶とライターが見つかったという。
消火後、拝殿の敷居や土壁も焦げていることが分かった。
(3月12日 毎日新聞より抜粋)
それ以外にも、
●22日午前6時ごろ、神奈川県大磯町西小磯の旧吉田茂邸から出火。午後零時半すぎに鎮火したが、木造2階建て本邸約1000平方メートルを全焼した。
●15日に国の重要文化財「旧住友家俣野別邸」(横浜市戸塚区)が全焼している。
日本の文化財や寺社はほとんどが木造のため、火災や放火が一旦発生すると消失するものは計り知れません。
これだけ多くの重要文化財や寺社が全国で火災や放火が発生しているというのは、偶然ではなく、ニュースで見た事件を真似たのではないかと私は推測しています。
放火をする人間の心理は、「むしゃくしゃして」といったストレス解消犯や、皆がバタバタして消火活動しているのが面白いといった愉快犯、スリルを愉しむといったものがあります。
いずれにしても社会の不況や閉塞感などに負けた弱い心が行う最も卑怯な犯罪の一つだと思います。
そんな放火被害に遭わないためには、
1)敷地内に不審者を入れないこと。
2)周囲に放火しやすいものを放置しないこと。
3)夜間も明るく死角を作らない。
4)放火をいち早く検知し初期対応すること。
があります。
1)敷地内に不審者を入れないこと。
赤外線センサーなどで外周警備を実施し、不審者がフェンスを越えたり、塀をよじ登ったり、敷地内に侵入した時点でベルやサイレンで威嚇撃退する。
2)周囲に放火されやすいものを放置しないこと。
段ボール箱、ゴミ、古新聞、古雑誌、木材などが敷地内に放置されたままであるとそういうところに放火される可能性があります。寺社では納札所や絵馬などが狙われやすいので注意が必要です。
3)夜間も明るく死角を作らない。
夜間暗闇の中に姿を隠すことができるのは犯人には好都合。防犯灯や人感ライトなどで周囲を明るくし死角を無くすことで犯罪者が犯行しにくい環境が作れます。
4)放火をいち早く検知し初期対応すること。
火災感知器では温度の上昇を検知する方式のためある程度の火の手が上がってから検知することになります。木造建物の場合はそれでは遅いので、放火の危険がある場所には炎センサーを設置することをお勧めします。炎センサーは10メートル先の7センチの炎を検知、音声メッセージでその場で警告したり離れた管理者に連絡することができます。
外周警備の赤外線センサーやや放火検知の炎センサーなどは防犯カメラと連動し、異常発生時の映像を自動録画するとともに、離れた場所にいる管理者の携帯電話に自動通報すると動画で現場状況を把握しながら初期対応ができ、より安心です。
見える自主機械警備システム
寺社の放火対策
投稿者: スタッフ (2009年3月31日 09:19)