今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
個人情報入りノートパソコン盗難被害2件の顛末
ノートパソコンが盗まれると、その中に入ったデータまで一緒に盗まれることになります。
そのデータの中に個人情報が含まれるとどういうことになるのか・・・そんな盗難被害2件をご紹介します。
●芦原中教諭がパソコン盗難 生徒の個人情報入り 福井(7月14日産経新聞より引用)
あわら市教委は13日、市立芦原中の男性教諭(45)が同校と坂井市の中学校の生徒の氏名、住所、成績評価やサッカー部員の名簿などが入ったノートパソコンを盗まれたと発表した。入っていた個人情報は生徒計525人分と少年サッカー団体約50団体分。パソコンは私物で、あわら市教委は学外への持ち出し禁止などを定めていなかった。
同市教委によると、教諭は11日午前中に学校で仕事をした後、午後0時50分ごろ、坂井市丸岡町のまるおかスポーツランド駐車場に車を止め、後部座席にパソコンの入ったかばんを置いたまま顧問を務めているサッカー部を指導。午後4時50分ごろに車に戻り、パソコンがないのに気付いた。
学校に置き忘れたと思い、学校に戻ったがパソコンはなかった。補導当番だったためあわら署に出かけ、同僚を車に乗せた際に助手席のドアがこじ開けられていたのに気付いたという。
パソコンには平成12〜20年度に担任を務めた坂井市立春江、丸岡中と芦原中計3校の生徒240人の氏名、住所や保護者名、担当の体育の成績評価のほか、12〜21年度の3校のサッカー部員285人分の名簿、役員を務める県サッカー協会の中学生チーム約50団体の名簿が入っていた。パスワードはかけていたという。
県教委は他府県で生徒の情報の入ったUSBメモリーなどの盗難が相次いだ昨年10月、パソコンの持ち出しなどを原則として禁止し、やむをえない場合は暗号化機能の付いた記録媒体を使用するよう通達。あわら市も校長会などを通じて注意喚起を行っていた。ただ私物の持ち出しを禁止することはできず、管理に注意するよう指導していただけだった。
同市教委は教諭に対し厳重注意を行い、県教委も近く処分を決定する方針。
●早大で教授のパソコン盗難、個人情報流出(7月11日 産経新聞より引用)
早稲田大学は10日、学生や卒業生ら376人分の個人情報が保存されていた50歳代の男性教授(商学学術院)の私物パソコンが、キャンパス内で盗まれたと発表した。個人情報を悪用した被害は確認されていないという。
早大によると、パソコンには平成11〜21年度に入学し、教授の担当科目を受講するなどした学生の名簿が保存され、氏名やメールアドレスなどが記載されていた。
教授は7日午後4時15分ごろ、新宿区の早稲田キャンパス講堂内のトイレで、パソコンや書類などが入ったかばんを洗面所に置いたまま目を離したすきに、盗難に遭った。
かばんは同日午後9時ごろにトイレで発見されたが、パソコンなどはなく、教授は警視庁戸塚署へ被害届を提出した。
どちらも、教師が私物のノートパソコンに生徒などの個人情報を入れて持参していたのを盗まれたものです。
車上狙い、置き引き・・方法は違いますが、ノートパソコンは今泥棒にとっては狙うべきターゲットとなっています。
何故なら、自分で使用ということもあるかもしれませんが、泥棒の多くはノートパソコンを換金するのです。つまり、現金化が簡単なため狙われているのです。
中のデータは?というと、消去される場合もありますが、データも販売されてしまう場合もあります。
そうした個人情報を購入する業者もいます。
又、ネット上に流出するという最悪のシナリオもあります。
今回の教師はたぶん自宅でも仕事をしようとノートパソコンに個人情報を入れていた、熱心な教師だったのだと思いますが、このように新聞に記事が掲載し、教育委員会や学校・大学から厳しく指導され、何らかの処分がくだされるという、盗難の被害者なのに加害者として扱われてしまうのです。
こうした被害が1ヶ月に何件か発生している、というのが、毎日窃盗ニュースを見ていての感想です。
つまり、こうした被害を耳にしているにもかかわらず「自分が当事者になるとは考えていない」のです。
情報セキュリティ・・これはどこまでやるのか、というのが非常に難しいものです。
どこまでやれば安全なのか、コストをどこまでかけるのか・・
しかし、最も大事なのは、「関係者の意識改革」です。
●ノートパソコンに個人情報を入れて持ち出さない。
●職場に私物のパソコンを持ち込まない。
●パソコンは必ずパスワードで起動するようにする。
●ノートパソコンをどうしても持ち歩く場合には必ず携帯する。車内に放置しない。
●建物内に不審者・部外者が侵入しないよう防犯システムを設置する。
投稿者: スタッフ (2009年7月14日 11:22)