今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
地味な泥棒。ゴルフ場池チャボールを磨いて生計15年。
爆窃団といった数分で壁に穴をあけて貴金属数千万円をがっぽり稼ぐ、という派手な泥棒もいれば、地道にコツコツと?稼ぐ泥棒もいます。
今回ご紹介する泥棒は、地味ドロ。
62歳のその男は15年間、岐阜、愛知、静岡、三重、滋賀、長野県のゴルフ場に深夜に忍び込み、池に沈んだゴルフボールを盗んで新品同様に磨き上げて大量に売りさばいていました。
調べに対し男は「15年間にわたって、ゴルフボールを売って生計を立てていた」と供述しています。 岐阜県警は15年間で数千万円の利益を得ていたとみて、裏付け捜査を進めています。
それにしても、ゴルフ場でのOBボールの所有権は一体誰のものなのでしょうか?
ボールは、本来ボールを購入して使用したプレイヤーに所属します。
しかし、OBボールは、その持ち主が回収をあきらめて立ち去った時点で、民法上、その所有権を放棄したものとみなされます。
(この状態を「無主物」と呼ぶそうです。つまり「主の無い物」という意味です。 )
「無主物」は、それを所有する意志で取得した人が所有権を得ます。
しかし、ゴルフ場が、OB(ロスト)ボールを、自身の財産と考えている場合には、ゴルフ場に無主物先占による所有権が生まれ、ロストボールとなった時点でそのボールの所有権はゴルフ場にあることになります。
ですので、放棄されたボールはゴルフ場の所有物になり、これを持っていけば窃盗罪になるわけです。
これは昭和62年4月10日、最高裁が深夜ひそかにゴルフ場内へ侵入した者が、ウェットスーツを身にまとってウォーターハザードの中へ入り込み、熊手、網袋などの道具類を使って池の底から大量のロストボールを拾っていたという事案につき窃盗罪の成立を認め、それに際し、ロストボールは、「無主物先占によるか権利の承継的な取得によるかは別として、いずれにせよゴルフ場側の所有に帰していた」、と判断したことによるようです。
それにしても、深夜の誰もいないゴルフ場に侵入し、冷たい池にもぐったり、体力使ってボールを集めて、磨いて・・・まるで学生時代のクラブ活動の下級生のような毎日ですよね。
私はボール拾いが最も嫌いでした。
それを毎日行って生計をたてるとは・・その忍耐を別のことに生かせばと思います。
投稿者: スタッフ (2007年5月29日 10:24)