今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
大阪 電動工具目当ての車上狙い急増
大阪府内で今年上半期(1~6月)、工事用のトラックなどから工具類ばかりを盗む車上狙いが多発し、昨年同期と比べて6割も増加していることが16日、大阪府警への取材で分かりました。
この結果、車上狙い全体の数を押し上げ、全国ワーストワンを独走する状態に陥っているという。
府警幹部は「東日本大震災の復興工事で、電動工具を中心に需要が高まっているうえ、車内に無造作に置かれているため、盗みやすいのが増加の背景にあるようだ」と分析しています。
上半期の府内の犯罪情勢によると、ひったくりや自転車盗などの街頭犯罪が、前年同期比で減少する中、車上狙いは7460件で8・1%増加。
平成23年にワーストワンだった愛知に1900件の差をつけてワーストワンとなっています。
中でも、工事用車両に積まれている電動ドリルや電動カンナなどの工具類を狙った犯行が、前年同期比で約60%も多い約1900件に上り、車上狙い全体の4分の1を占めています。
建設労働者が多く集まる大阪市西成区を管轄する大阪府警西成署によると、昨年末ごろから被害が目立つようになったという。
上半期の車上狙いは約100件と減少したものの、工具狙いが占める割合は、昨年の約15%から40%と大幅にアップ。
被害額は数万円程度が中心ですが、数十万円に上るケースもあります。
捜査関係者によると、西成区内の露店では、電動工具類が中古市場価格の半値以下で売られていることもあるといい、府警は、盗品が含まれている可能性もあるとみて、露店に対する取り締まりも強化する方針です。
■ 高い需要高額取引
大阪府内で中古工具を扱っている業者によると、工具の中でも電動のものは需要が高く、中古でも高値がつきます。
買い取り価格は数千~数万円が中心で、発電機などの高額な品物なら、10万円を超えて取引されることもあるという。
大阪府警西成署が7月、車から工具を盗んだ窃盗容疑で逮捕した無職の男(63)は「昨年5月から100回以上工具を盗んで換金した」と供述。
未明から明け方にかけて自転車で西成区内や周辺を物色し、トラックの荷台から工具を盗む手口で犯行を重ねていました。
工具類は、盗んだその足で、未明から開店している中古品買い取り業者に持ち込んで転売し、1回につき数千円を得ていました。
捜査関係者は「被害に遭う車両は、荷台を幌(ほろ)で覆っているだけのことが多い。1回に盗むのは数個なので、持ち主が犯行に気付かない場合もある」と指摘します。
工具類が盗まれる車上狙いは、全国的に増加傾向にあります。
ある中古業者は盗品の電動工具を持ち込まれた経験があるといい、「同じような話は業界内でもよく聞く」と話します。
この業者は対策として、買い取りを求める客に免許証のコピー提出を要請。
さらに、建築作業用と電気工事用などの用途の異なる工具が一度に持ち込まれた場合は、盗品である可能性が高いとして買い取りを拒否しているという。
<産経新聞8月16日(木)15時12分配信より>
東日本大震災後、それを復興するための工事が各地で行われます。
すると、それに付随するようにその工事に関連した窃盗事件が頻発するようになるのは必然です。
震災復興特需があると、そこを狙って犯罪者も動き出します。
盗んだ工具類は、一回数千円~数万円という買取価格ですが、100回以上犯行を繰り返したという男の犯行が紹介されています。
車内に無造作に置かれているため盗みやすい点、持ち主が盗まれても気付かない点、被害額が少ない点(被害届を出さない)、転売しやすい点などが犯行が増加した要因でしょうか。
防犯対策は難しいと感じる人も多いかもしれません。
しかし、防犯に詳しくない人が見ても、これは危ない、このまま放置するのは大丈夫なのか、と感じることは多々あると思います。
例えば、今回の記事でも紹介されていますが、トラックの荷台を幌(ほろ)で覆っているだけの状態というのは、それを取ると、非常に無防備な状態になってしまいます。
こんなもの誰も盗まないだろうという油断、根拠のない自信を持つことは危険です。
転売する方法(リサイクルショップやネットオークション、個人売買など)が増えましたし、用途(分解、再加工、外国へ密輸など)も様々です。
もし自分が泥棒だとしたら、という目で見てみることをお勧めします。
その上で、自分だったらここを狙う、こうすればうまくいくなど、色々な点に気付くのではないでしょうか。
その気付いた点というのが弱点ですから、それを直す、改善することで、泥棒が嫌がる、狙いにくい環境へと変化していきます。
それが防犯対策の第一歩です。
投稿者: 総合防犯設備士 (2012年8月21日 14:19)