今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
仏像を盗難から守れ! 高校生が複製製作、本物は博物館に
仏像の盗難事件が各地で相次いでいますが、社寺の仏像などを県立博物館(和歌山市吹上1)で保管し、複製を社寺に安置する取り組みが和歌山県で始まっています。
主に県立和歌山工業高校の生徒らが複製制作を担当し、このほど1体目が完成しました。
文化庁美術学芸課は「全国でも例のない試み」としています。
和歌山県教委文化遺産課によると、同県での仏像盗難は10~11年に多発し、紀の川市や橋本市などで計161体が被害に遭いました。
容疑者1人が逮捕されたものの、今年も1体が盗まれました。
大半は行方不明のままです。
一方、同県立博物館はかねて、埴輪(はにわ)などの文化財の複製を館内に設置し、来場者に触ってもらう取り組みを行っていました。
このため、仏像盗難のことを知った博物館の担当者が現在開催中の寺院関係の特別展を企画した際、仏像の複製を利用するアイデアを、展示会に関係するなどした数カ所の寺や神社に伝えていました。
この呼び掛けに最初に応えたのは紀の川市平野の林ケ峰(はいがみね)観音寺。
所蔵の菩薩形坐像(ぼさつぎょうざぞう)(高さ約26センチ、ヒノキ製)が同館などの調査で平安時代の作と判明し、今年7月に市文化財に指定されました。
初期密教彫像特有の神秘的な表情や引き締まった体が特徴という。
同寺は集落の外れにあり、檀家(だんか)は約60軒。
住職はおらず、仏像が安置されている本堂は集会所を兼ねています。
施錠はしていますが、近くの寺でも盗難事件が起きており、檀家らが複製の安置を決めました。
5年に1度の寺の行事で本物に里帰りしてもらう予定です。
檀家総代の男性(80)は「本物が一番いいが、集落の宝は守らないといけない」と話します。
複製作りは9月に開始。
同校の授業で、本物をレーザー計測して樹脂で成形し、10月下旬に完成させました。
来年1月にも同寺に安置します。
現在、他にも複数の社寺と複製の安置を調整中で、今後も需要が広がる可能性があるという。
同館の学芸員の男性は「文化財保護と地域信仰保持を両立させたい」と話しています。
<毎日新聞11月26日(月)12時44分配信より>
とても面白い取り組みだと思います。
仏像盗難対策として、仏像の複製を本堂に安置し、本物は博物館に展示する。
複製ですから、仮に盗まれたとしてもそれほど大きな被害にはなりません。
本物は警備がより厳重な博物館に展示し、必要な時に本堂に移すことで、盗難の危険性が大きく減少するということでしょう。
複製ですから、檀家の方にしてみれば、ありがたみが少し薄れるかもしれませんが、大切な仏像を守るためであれば納得してもらえるでしょう。
常時ではないにしろ、本堂が無人になる際、仏像が盗まれないか気が気ではないと思います。
そういう心配もなくなります。
仏像の複製を作ってくれる業者と、本物を預かってくれる博物館を増やすことが必要ですが、これは国や自治体が税金で行う取り組みではないでしょうか。
国宝や文化財に指定されるような仏像を個人の力だけで守り、管理し、維持することは難しい時代です。
盗まれた仏像が海外で闇取引される、そのような事件を増やさないためにも必要ではないでしょうか。
投稿者: 総合防犯設備士 (2012年11月27日 16:29)