今日巷で話題の犯罪について防犯のプロが語る
再処理事業所から鋼材が盗難された事件が地元に与えた影響
ちょっと気になる記事が東奥日報に出ていました。
青森県六ケ所村尾駮沖付の日本原燃再処理事業所で、施設整備などを請け負っている「日揮」の資材倉庫から、金属棒四本(時価合計六十万円相当)が盗まれた事件に関してです。
盗まれた金属棒は直径約二十センチ、長さ約一・五メートル、重さ五百キロのステンレス製鋼材で計二トン。日本原燃の委託で、資材倉庫内の棚に、紙で包装した状態で保管していました。
日本原燃は、同区域について「一般の資材置き場の規模を大きくしたような場所で、職員用の食堂もあります。特段ものものしい警備が必要な区域ではない」として、重要度が高い場所ではない−と説明。「入構した業者が中の資材を持ち出すことも起こり得る」と話しているということです。
同敷地内は、放射性物質がある管理区域を取り囲むように、周辺監視区域が広がる二重構造になっています。鋼材が盗まれたのは周辺監視区域にある倉庫からです。
同区域には職員や関連業務を請け負う業者などが出入りしていますが、危険物の持ち込み防止や、身元がはっきりしない人の出入りを防ぐ目的で、入構時の登録や通行証の提示を求め、車の積み荷については確認していますが、出る際は通行証の提示を求めるだけで、原則として積み荷は確認しないということです。
地元六ケ所村の住民は、日本原燃敷地内で盗難事件が発生したことに驚いた様子。
ある男性は「原燃はセキュリティーがしっかりしているはずなのに。再処理工場など重要な施設からの盗みではなかったとはいえ、警備は本当に大丈夫かと疑いたくなる」と話しています。
また、別の男性は「無責任きわまりない。そういう姿勢が、さまざまな事故や業界の不祥事隠しにつながっているのではないか。一般の住民と感覚がかけ離れている」と怒りをぶちまけていました。
原燃は二十一日、盗難があった区域について「資材が盗み出されることは想定していなかったが、その可能性はあった」と対応の不備を認める一方、放射性物質を保管している区域から盗まれたわけではない−として、重大な事案ではないとの認識を示しました。
しかし、テロを警戒して厳重な警備を敷いているゲートの内側で起きた事件だけに、地元住民から「警備は本当に大丈夫か」と不安、不信を訴える声も上がっています。
こうしたことで地域住民の信頼を失うということは、原燃にとっても大きな損失になると思われます。
金属価格の高騰が背景の金属盗難・・と片付けることはできません。
もしこれがテロリストであったとしたら、簡単に敷地内の倉庫に忍び込めたということですから、どんなことになっていたか・・恐ろしくて想像もできません。
日本原燃は、施設への出入り業者に事件を報告し、同様の事案が発生しないよう管理に万全を期すよう求めるとともに、巡回を増やすなどしてパトロールを強化する方針としていますが、もう一度防犯対策そのものを見直すことが必要であると考えます。
1)敷地内への侵入が簡単にできないようにフェンスを貼り、フェンスの攀じ登りを検知するフェンスセンサー、フェンス上やフェンスを乗り越えた後の侵入を検知する赤外線センサーを張り巡らす。センサーが検知すると暗闇でも鮮明な画像で確認できるディナイト機能付きの監視カメラで画像確認。自動録画する。
2)建物内の窓に近づいた時点で赤外線センサー、窓の開閉を検知するマグネットセンサー、室内空間検知センサー、と何重にも警戒線を設定する・・・
といった侵入警戒システムが必要です。
カメラ+侵入検知+入退出管理+人的管理・・といったソフトとハードを組み合わせた対策を構築する必要があります。
投稿者: スタッフ (2007年6月22日 15:02)